8月6日に、
「保護者との信頼関係を深めるコミュニケーション講座」
を行いました。
参加者は、
・中賢保育士
・新人保育士
・園の事務の窓内に立つ方
・福祉の仕事に就き、
ご家族とのコミュニケーションを前向きに考えたい方
~などなど。
今回、事前に現場の先生たちに
保護者とのやり取りで配慮が必要な場面などを
情報収集させていただいていたので
それらとみなさんの事例を合わせて、
講座をすすめていきました。
<以下、レジュメからご紹介します>
1.寄り添いコミュニケーション
●それぞれの保護者対応の課題
・新人保育士
‐保護者の視線が気になる
‐日々の中でのエピソード共有・情報伝達
‐保護者からも育ててもらう関係性
・中堅保育士
‐発熱時の対応に気を遣う
‐けがや子ども同士のトラブルについての伝達
・ベテラン保育士
‐発達・育ちが気になる子どもの保護者へのかかわり
‐園の方針を共有する
●日常の中で積み重ねていく会話
EX1.何気ない雑談で、どう話をしていいのかわからない
・雑談はふだんのかかわりの中で
子どもの様子を知ってもらう絶好の機会
~とはいえ、どう返していいのか、わからない・・・。
●深い思いを受け止めるために
<保護者対応で感じていること・気になっていること>
【ワーク】
●保護者役:A
「子どもがなかなか寝てくれなくて…。
寝不足なんですよね」
保護者役:B
「家ではご飯を食べてくれなくて…
どうやったら食べるんですか?」
●保育士役
1.「いいことを言おう!」と気負い、自分に意識を向けながら、聞く
2.相手の気持ちに寄り添い、さいごい
<やってみた感想・気づき>
2.さまざまな保護者とその背景
「難しい人」は「困っている人」と捉えてみる
· 何を信じていいのかわからない
-研究の結果分かってきたこと、ビジネス視点の情報・・・etc
· してもらったことを、しているだけ
-「やさしさ」がわからない・しつけと虐待の狭間・・・etc
· かかわり方が分からない
-Helpの出し方・大人同士の距離感・人との付き合い方・・・etc
· 子育てが、見えない
-子どもはどういう存在?何が必要?・・・etc
· 自分自身との葛藤
-親にしてもらいたかった・自由でありたい・・・etc
・環境のちがい、受け取り方のちがい
<あなたの周りの保護者は?>
<どんな工夫が出来るのか?>
3.心の奥の“ニーズ”を探る
●ニーズとは心の奥にある願い
EX:お便り帳でのやりとり
・子どもの成長を味わいたい
・不安を解消したい
・子育ての知恵を必要としている
・子どもに関する情報が欲しい
~etc
【本音を汲み取り、理想の状態を質問で引き出す】
・どうなるといいでしょう?(理想の状態を引き出す)
~漠然としていたところから、考えるきっかけとなる
・そのために、どうしていきましょうか?
(そのためのアクションを引き出す)
~一緒に考えていく態勢ができる
EX:
4.人生の課題を踏まえた支援
「こういう事情があるから、 」こういう行動をするのではないか?」
「こういうニーズがあるとすると、
こういうかかわり方が有効なのではないか?」
~前提として踏まえ、仮説を立てる
*どういう傾向にあるのか?
*背景は?
*保護者の今後の理想の状態は?
*かかわる中での方針は?
~情報の蓄積から傾向を導き出し、対応策につなげていく
*仮説に沿って関わってみて、結果どうだったのか。
●上手くいったら
・・・その仮説に沿って、今後もかかわっていく。
●こじれてたら
・・・今回のこともデータベースに入れて情報を再構築し、
別の視点や仮説から作戦を練って対応をしていく)
1:乳児期 5:思春期・青年期
(基本的信頼 vs 不信) (アイデンテティ vs アイデンテティの拡散)
2:幼児期前期 6:成人期
(自律性 vs 恥・疑惑) (親密 vs 孤立)
3:幼児期後期 7:壮年期
(自主性 vs 罪悪感) (世代性 vs 停滞性)
4:児童期 8:老年期
(勤勉性 vs 劣等感) (統合性 vs 絶望)
<エリクソンの発達段階理論より>
EX:
5.プロとしてのラインを探る
<ケース> SNS・インターネットでのトラブル
●5つの距離感を踏まえて
●境界線はどこか?
●プロとしてのラインはどこか?
<ケース>
感情に波のある保護者、 どう距離を取ればよいのか?
<あなたの考え・印象に残ったこと>
6.保育者の自己管理
使命感の強さから、疲弊してしまう保育者も・・・
豊かなコミュニケーションの秘訣とは?
●背景を汲み取り、 リクエストとして捉え直す
<ケース1>
家に帰ったら、ケガがあった!どういうことなのか?
⇒
<ケース2>
忙しいんだから、そのくらいの熱でいちいち電話するなよ!
⇒
<ケース3>
お金を払ってるんだから、もっとサービスするべきだ!
⇒
●感情との付き合い方
●保育士の側にもある“人生の課題”
●人はみんな、ベストを尽くしている
●自分の課題と、相手の課題を分ける
<あなたの考え・印象に残ったこと>
7.一枚の絵を見るように
●相手が受け取りやすい伝え方
<ケース1>
子どもが暴れてけがをしたことを、どう伝えたらいいのか?
<ケース2>
親に見てほしくて甘えが強くなっていること・
気持ちを受け止めてほしいことを、どう伝えるか?
●保護者の心の葛藤に寄り添う
<ケース>
療育への提案 保護者役・保育者役になり、
それぞれの気持ちを味わう
●共に考える(コーチングの視点)
<ケース>
クレームをリクエストと捉え、コーチングで答えを見つけて行く
●一緒に喜び合う瞬間を重ねる
8.まとめ・振り返り
保護者は親としての人生を歩み始めたばかり。
正しいことは、時に痛い。
まずは、存在承認!
その上で、
・仮説と検証
・人生の課題
・寄り添う中でできる、小さなステップ
~といった視点を持ちながら、
みなさんのまなざしで、親子の育ちを支える場所に!
<感想を一部、ご紹介します>
・保護者とのかかわり方を細かく講義してもらえて、分かりやすかったです。
一人一人の木になる点を取り上げてもらえて、よかった。
・自分を見直して、保護者とかかわってみようと思いました。
・保護者と保育者に分かれてのワークが、保護者の気持ちを体験でき、
先生の伝えたいことがスッと入りました。
・先生の体験談によるものが勉強になりました。
・保護者との関係を良くしていく具体的な方法が分かりました。
保護者の表情や言葉を読み取りながら、ニーズを探って行きたいと思います。
子どもにとってより良いことを保護者と共有していきたいです。
・今回もワークがあったり、事例の話などを盛り込みながらの話だったので、
とても分かりやすかったです。
・保護者側も育ってきた環境があり、人生の課題があることが分かり、
保護者と上手にうき合うためにもラインを引く大切さも分かりました。
・保育士側も自分の感情を見つめ直し、心のメンテナンスも必要なこと。
自分側を意識するのではなく、
保護者側が今、何を考えているのかの 裏側の気持ちを知る大切さが分かりました。
より良い距離感を保ちながら、保護者に寄り添えたら…と思います。
・保護者とのかかわり方もいろいろあり、言い方一つが大事ということ。
保護者の気持ちを汲み取って関わっていきたい。
~人へのかかわりに
正しいこと・間違っていることは存在しませんが、
「知って」いて、「選べる」状態というのが大切なところ。
保護者といい関係性を築き、
一緒に子どもの未来を作っていってくださいね!