静岡県保育所連合会 中部支部にて、
「次世代リーダー向けコーチング・コミュニケーション研修」
~を行ってきました!
個人事業主でコーチングを主に据えて展開を考えていた頃、
「世代継承」というシンポジウムに参加をしたことがあります。
この場合は、創立社長が息子の代に仕事を任せていくときの
問題意識のギャップだったり。
視野・視点のちがいだったり。
主体性のちがいだったり。
~さまざまな問題提起がされていました。
いま、「次世代」「中堅世代の育成」といった時に上がってくる一番の課題は
「当事者意識」なんじゃないかな?と感じています。
今回の入り口では、次世代リーダーが「他人事」から「自分ごと」になるような導入を。
そして年度末ということで、
今年度の課題も次年度へ向けての準備も山積みな保育の世界。
つい、目の前の出来事にフォーカスが当たってしまいますが
じつは客観的に捉え直すことで見えてくる大切なことがあります。
今回は、コーチングを切り口に
・次世代リーダーに期待されていること
・自分自身の振り返り
・保育マネンジメントに生きるコーチング
・相手の受け取りやすい伝え方
~ということで、盛り盛りの3時間となりました。
<以下、レジュメよりご紹介します>
次世代リーダーのためのコーチング・コミュニケーション研修
1. 次世代リーダーためのコーチング・コミュニケーション
●次世代リーダーの抱えている現状
・立ち位置・視点の変化
・ジェネレーションギャップ、視点のちがい
・保育の中で、意思疎通の必要性を感じている
●次世代リーダーへの期待とは?
・保育の見本となる
・後輩育成
・園全体に視野を広げ、上と下をつなぐ役割
●今回の研修を通じて、目指す状態
・日ごろの自分を振り返り、整理をする
・後輩育成に有効なかかわり方を見つける
・園内全体へと意識を広げ、調整をする視点を身に着ける
⇒コーチングのかかわり・伝え方の工夫にヒントあり!
2. コーチングとは
対話によって自発性を引き出す、人材育成に有効な手法。
馬車が人を目的地まで運ぶことに由来し、
コーチングを受ける人(クライアント)を
目的達成へと導くことを指す。
大前提は、「相手の中に、答えがある」
People are Naturally Creative, Resourceful and Whole
(人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である)
-CTI コーチングバイブルより-
傾聴・承認・問い掛けなどを通じて、
内側にある可能性を呼び起こす。
~ふだん何気なく行っていることを
意識的に行うことで、効果が高くなる。
<日常の振り返り>
●デモコーチング
☆パターン1
☆パターン2
~2つのちがいはなんでしょう?
①ペーシング
無意識の部分を相手に合わせることで、相手が心を開く
(信頼関係のベースを整えること)
・笑顔(あなたの存在を受け入れていますよ、のサイン)
・呼吸・言葉・場・仕草・声の大きさ/高さ・視線・ペース)
・あいづち・うなずき(「あなたの話を聞いています」「理解しています」)
~を相手に合わせること
*ペーシング体験・感想・活用できそうな場面
② 承認
【承認とは】存在を認めること
承認は、心の栄養になる。心が温かくなるような承認の言葉かけを!
→自信が付き、モチベーションが高まる
2つの承認:「無条件の承認」と「条件付けの承認」
「無条件の承認」
在り方・過程・上手くいっているところ・成長に焦点を当てる
・「おはよう」「おつかれさま」といった挨拶や、笑顔。
・「あなたはここにいる価値がある存在ですよ」というサイン
・本人の人となりで良いところ~「愛されキャラだよね」など
・保育でがんばっているところ・認めているところ
~「手遊び、上手だよね」「記録の書き方、上手になったね」
・努力している姿・過程への励まし
「なかなかうまくいかないかもしれないけど、
がんばっているのは分かっているからね。
もう一息、頑張ろうね」
「条件付けの承認」
何かができた時・上手くいった時に掛ける承認の言葉
・任されている仕事がうまくいったときに「良かったね!」
・ピアノがうまく弾けたとき「うまく弾けたね!」
・評判が良かった時「楽しかったって声が聞かれたよ!」
成果が出た時には成果を承認し、喜びを分かち合いましょう!
育成者の期待値に届かないと、ぎくしゃくしてしまうことも・・・。
結果につながらなくても、努力をしている姿勢を認めていることを
まずは声に出して伝えましょう。
*同じグループメンバーに対する承認のメッセージを書いてみましょう
*後輩○○さんへの承認を書き出してみましょう!
③質問
【質問とは】学びを自分の力に変える“問い掛け”
人は問い掛けられると、思考が回り始める。
⇒受け身だった人にも、スイッチが入る!
「どう伝わった?」
(⇒伝えた内容を相手がどう受け取ったか、どこまで伝わったかの確認)
「どう感じた?」
(⇒相手に起こっていることを知ることで、次にどうかかわればいいかが見えてくる)
「○○について、どう教わりましたか? 」
(⇒本人の中の認識を知る機会になる)
「何が原因?」
(⇒原因を自分で探りに行く時間を持つ)
「この体験から、何を学んだ?」
(⇒体験からの学びを引き出し、教訓・知恵にする)
「今後、具体的にどうしていく?」
(⇒注意すべきこと・心掛けることなどを引出し、今後につなげる)
~など
※“問い掛け”の注意※
誘導尋問にならないように!~心的なプレッシャーで逆効果になる
問い掛けは、あくまでフラットに。
「相手と一緒に考える」ようなスタンスが良いでしょう。
●行動から得た学びが、成長につながる
出てきた答えはすでに伝えていたこと・教えていたこと?!
体験を振り返り、答えを見つける2つの意味
1.新たなアンテナが立ち、学びを吸収する姿勢ができる
~素通りしてしまった情報を、あらためて受け入れる準備ができる。
2.本人のキャパシティー(容量)に余裕を作る!
問い掛けにより、脳内が整理されていく。
自分で答えを出すことによって情報がつながり、“知恵”になる。
☆ワーク : コーチングセッション
④観察・フィードバック
<観 察>
相手は、自分の状態になかなか気が付かない。
客観的に様子・気持ちの変化・表情の変化を観察すること。
<フィードバック>
観察によって感じたことを伝えること。
発しているサインを受け止め、伝えることで、
相手に気づきや変化が起こる。
⑤可能性を信じる
今見えている姿と、内に秘めた可能性。
あなたの部下にはどんな可能性が眠っているでしょうか?
可能性を信じてくれる人の存在が勇気づけにつながり、
次の行動へのモチベーションとなります。
~大切なのは、言語化し 伝えること。
それが相手の可能性への承認になる~
4.「伝わる」指導の「伝え方」
●「伝える」と「伝わる」のちがいを埋めるには?
<書き出しワーク>
・同じ言葉を使っていても、
育った環境・これまでにしてきた体験
によって、伝わる内容や意味合いが変わってくる。
・伝わるためのコミュニケーションの工夫とは?
●指導における伝え方のコツは、前提から
一つの言葉の中にも、様々な意味合いが含まれている
~新人:まっさらなところからのスタート!
自分が知っていることを、あえて言語化することが大切
●指導時も、双方向で!
~伝わった内容を確認する・行動の意味を知るよう心掛けましょう!
「どんなふうに伝わりましたか?」
「分かったことは?」「分からないことは?」
「まず、何から?」
「できたらどうしますか?」
「やってみてどう?」
「なぜその行動を取ったの?」
☆話しながら相手の表情を観察し、軌道修正するのがポイント!
●OJT・伝えたいこと・厳しい指導の必要がある時は―――
<伝え方ルール>
伝えたいポイント
+
相手にとってどんな意味があるか
+
確認
・伝えたい内容を整理しましょう
・最初は、承認から伝えるとスムーズ♪
・内容によって、声色・表情・シチュエーションを工夫しましょう
☆○○○について、後輩に話をしましょう
<ワーク>
先輩役:作った文章を、実際にケースを想定して話してみる
後輩役:想定した役になりきり、やりとりをしてみる
⇒質問や承認・伝え方を工夫して、Let’s TRY!
<やってみた感想・大事だなと感じたポイント>
5.より良いコミュニケーションのために
・思いを「届ける」意識
・リクエストとして、捉える
・感情のメンテナンス
・自分自身への、承認
~ 次世代リーダーの調整力を生かし、
より良い保育の現場を創っていきましょう ~
<参加者の感想を一部 ご紹介します>
ありがとうございました。
相手の承認・話を聞く・大切にして、より良い関係を築いていきたいです。
「答えは相手の中にある」大切にします。
相手の立場(先輩・後輩)に立って考える、いい機会になりました。
眠くなる時間にも、聞きやすい講義でした。語り口調もステキでした。
“梅ちゃん”のお話(声)を聞いていると元気になる気がしました。
前向きなパワーをいただき、ありがとうございました。
リーダーになる器ではない、という思いが強くありましたが
最初からあるものではないと聞き、少し安心しました。
実際に体験することで、聞くだけよりも“より分かる”と感じました。
もっと時間があると良かったです。
ティーチングとコーチングは異なるというのが印象的でした。
心の奥にある思いを引き出す。奥が深い。
具体的な対応方法が、参考になりました。
「答えは本人が持っている」
「頭の中の棚卸」
「思いを届ける」
~が、印象的でした。
日々、仕事と育児に追われており、自分を振り返ることが少なかったので
振り返りができて良かった。
日ごろの子どもや大人との会話の中で生かしていきたい。
本来はもっと長い時間かけて学びたい内容。
これをきっかけに、コーチングを学び始めたい。
可能性を信じること、大切だけどむずかしい。
むずかしいけど大切。
今日のこのタイミングに感謝しています。
悩み多いですが、一つ一つ傾聴・承認・質問。
特に承認を心掛け、職員一人一人と向き合っていこうと思えました。
さっそく実践してみようと思います。
具体的なお話で、現場で使いやすいです。
新しいクラスのメンバーで、承認をし合ってみたいと感じました。
日ごろ承認してもらうことがないので、今日の3枚のメッセージは宝物にします。
自分の中ではまだ、リーダーになっていく意識はないのですが、
そういった役割を担う立場になってきているので、がんばっていかなくてはと思います。
来年度へつなげていきたいです。
大変勉強になりました。
記入したことを元に話を進めていく。
相手に答えを導く大切さを知りました。
今までもコーチング研修に参加したことはありましたが、
“保育”に特化したことはなかったので すごく良かったです。
もう少し実践したいというのがホンネです!
職員全員の力を発揮していくためには
コーチングの技術は必要不可欠なものだと、あらためて感じました。