事前に頂いたアンケートの中でも
「主任を任される立場になったものの、
これでいいのか、自分で不安を与えていないかと戸惑う毎日を送っている」
「リーダーという立場になったが、何をしていいのかわからない」
「相談を受ける場面が増えたが、どうやり取りをしていいのか持て余してしまう」
「陰口や悪口を聞いてしまったとき、どう対応すればいいのか困ってしまう」
「今どきの新人に、どう指導すれば伝わるのか悩みがある」
「職員会議などで、意見交換を活発に行いたい」
「保育士不足な状況の中で、メンタルになりかけている職員への関わり方が分からない」
~などの声をいただいておりました。
保育現場のリーダーの悩みは深く、多岐にわたります。
今回の講座では、
実際に私自身が 新人・中堅を経て8年のブランクを経て
現場に施設長として戻った中で感じた、様々な葛藤やその打開策などを
心理学・コーチング・システムシンキングといったツールと
身近なエピソードとワークやディスカッションを織り交ぜて
このような流れで講座を行いました。
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1.はじめに
・保育現場の現状
―家庭支援(親指導・地域の子育て支援)
―世代間ギャップ
―育成の課題
―保育士不足な中での、保育と教育の一元化
・・・・求められることが多い
・保育現場における、リーダーとは 園内で要 となる人
<今日の終了時に「こうなっていたい」目指す状態>
2.コミュニケーションの果たす役割
・保育におけるコミュニケーションの対象者
1.子ども
2.保護者
3.保育者
・お鍋の中のお出汁が、コミュニケーション
・「見て覚える」から「言葉にして伝える」へ
・保育の技術と保育者間のコミュニケーションは別物だった!
・保育は感情労働
~自分の感情を大切にする/子どもだけでなく、大人同士の感情
●信頼関係を高めるコミュニケーション
・思わず口をついてしまう、あんな言葉
・会話が弾む、共感の言葉
・深い共感・「理解してもらえた」と感じられる言葉
◆ワーク:3人一組で順番に体験する
・話し手 * 自分の体験の話をさきほどの形式にあてはめて話す練習
・聞き手 * NGワード→ 受容ワード→ 感情に共感を合わせた聞き方
・オブザーバー* 2人の会話の様子を観察し、後に振り返りを伝える
<NGワード> 言ってみて、言われてみてどんな気持ちになりましたか?
<受容ワード>言ってみて、言われてみてどんな気持ちになりましたか?
<感情に共感>言ってみて、言われてみてどんな気持ちになりましたか?
●ペーシング
無意識に行っている行動を相手に合わせていくことで、
相手は自分に近いと感じて安心する。
信頼関係によって心を開き相手の存在・言葉を受け入れやすくなる。
3.働きやすい職場のために
<多様性あふれる保育現場>
・男性/女性
・新人/中堅/ベテラン
・20代/30代/40代/50代/60代
・生え抜き職員/他園を経験した職員
・保育の道一本/異業種からの転職
・保育に思いを持っている人/仕方なく保育をしている人
★「価値観の違い」「感覚の違い」「常識の違い」・・・
~ちょっとした感覚のちがいがが、不協和音に?!
(1)相手の存在・生き様を尊重する
・言葉に耳を傾ける
・受容する
・共感する
(2)ちがいを生かすためには、“ちがいの背景”に耳を傾けること>
~どんな価値観(生きていくうえで大切にしたいこと)があるのか?
Ex:時間が大切、礼儀を大切にしたい・・・
~幼いころの体験・家庭のルールなどから
★チームワークは「ちがい」を受け入れ合うことから
・ちがいを面白がる
・ちがいがあるから、幅が広がる
・そこから何ができるかを出し合う
(3)保育の足並みを揃えるためには―――共通の目的を確認する
園・クラス・職員としての“共通の目的”を見つける
現状を知ること、目指す先を共有することで連帯感が生まれる
共通の「ねがい」は?
大切にしたいものは?
「 のために」
~ 保育の根っこは変わらない ~
保育の中で、どんな子どもに育ってほしいか?
どんな思いを持っているか?
子どもへの思いを語り合う時間を大切に
(4)「批判」ではなく、「感じていること」に焦点を当てること
・批判的な意見の裏側に、その人が大事にしているものが見えてくる
・「感情」「感じていること」として受け止める
Ex:「納得いかないと感じたんですね」
「悲しかったんですね」「もどかしかったんですね」
(5)リクエストを伝えあうこと
・陰口や文句は“リクエスト”として捉え直す
・園内を仲裁する人の存在が、鍵
・日ごろの信頼関係を築いておく
~要望を気軽に伝えあえる文化が居心地の良さにつながる
<ワーク>
4.伝える力
●伝えることが必要な場面
・枠組みを認識するとき
・全体への働きかけ
・相手の理解を深めたい時
・共有知を築くとき
●有効な伝え方とは?
2.こうなってほしいという、理想の状態
3.理想な状態になるために、必要なこと
1.今の状態・現状
<それを踏まえて、伝える内容を考えると…>
<活用できる場面>
*会議の場での全体への連絡
*園内のキーパーソンへの根回しの際
*「伝わらない」と感じている人へ伝える時
~などに、これらを活用して頭の中を整理してから伝えると受け取りやすい
●黄金ルール
(1)指導する際 →
【伝えたいポイント】+【相手にとって意味があること】+【お伺い】
一方的に伝えるのではなく、相手にとって良いこと・行動の意味を言語化することで
イメージがしやすくなり、アクションへのハードルが下がる。
★あなたの後輩は時間にルーズで、遅刻が目立ちます。
どう伝えるとよいでしょうか?
<EX>遅刻をすると、信頼を失うよ。
ふだんあなたが一生懸命やっていることが、相手に届きにくくなるよ。
頑張っているから、みんなから信頼してもらえるように時間を守ろうよ。どう?
(2)提案をする際 →
【要件】+【依頼を見込んだポイント】+【それにより得られる未来】
相手のことを普段からよく見ておき、
良いところ・可能性・得意なことに依頼要件とかけることで自信とやる気を引き出す
未来へと思いを馳せることで、自分が達成しているイメージを持てる
<以下、あてはめて考えましょう>
★新しく始まる取り組みで、後輩にリーダーとして動いてほしいと思っています。
どう伝えるとよいでしょうか?
5.組織・園内の力を引き出すコーチング
デモコーチング
☆パターン1
☆パターン2
~2つのちがい・気が付いたこと
・コーチングとは
対話によって自発性を引き出す手法。
馬車が人を目的地まで運ぶことに由来し、相手を目的達成へと導く。
大前提は、「相手の中に、答えがある」
承認・問い掛け・投げかけなどを通じて、内側にある可能性を呼び起こす。
●保育の中でコーチングが生きる場面
・伝わったかどうか、確認をしたい時
・双方向のコミュニケーションがしたい時
・意見を引き出すとき
・現場のモチベーションを上げたい時
●保育現場で役立つコーチング4つの要素
(1)ペーシング
(2)観察・フィードバック
<観 察>
相手は、自分の状態になかなか気が付かない。
客観的に様子・気持ちの変化・表情の変化を観察すること。
<フィードバック>
観察によって感じたことを伝えること。
発しているサインを受け止め、伝えることで、
相手に気づきや変化が起こる。
(3)承認
相手のいいところ(できていること)を伝えることで
信頼感・安心感が生まれ、勇気につながる。
(4)質問
質問によって、視点が転換する
1.気持ちを引き出す質問
2.どうなりたいかを引き出す質問
3.行動を起こさせる質問~アクション
☆ワーク
「あなたの理想のリーダーとは?」
~をテーマに、ペアでコーチングを体験してみましょう!
Q:話してみて、感じたこと
Q:コーチングについて感じたこと
6.会議の場で、話しやすい雰囲気づくり
・ふだんからのコミュニケーション
・意図の共有・根回し
・否定せず、受け止める風土づくり
・まずは 一人 ⇒ 二人 ⇒ 4人(グループ) ⇒全体の場へ
・問い掛けの力・一人一人の力
7.本日のまとめ・振り返り
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<参加者の感想を、一部ご紹介します>
・リーダーとは園でのかなめとなる人とお話され、
職員間の関係をつなぐ役割だと改めて感じました。
・リーダーは完璧でなくて良い、チームの要である・・・
保育も運営も何もかも把握して!と、それができない自分を責めていたので、
ちょっと心が安らぎました。
・例に挙げられる話がどれも「あるある!」共感できて、入ってきやすかった。
・実際に保育の現場をよくご存じの先生の話で、とても説得力があり分かりやすかった。
・相手を知り、共に園を作っていく環境を作ることが、
今 自分がすべきことなのだと思いました。
・リーダーとしての基礎・土台となるところが学べたと思います。
伝えること、そして意見を聞きだすこととは難しいですが、
図式化して整理していくと、分かりやすかったです。
・コーチング、今まで耳にしていたけどよく分からなかった。
ペーシングやフィードバック、承認、質問と4つの要素で自ら待つ、
答えを導く、やっていきたいと思った。
・力不足と感じていたが「伝える力」について、
どのように伝えたらよいのか大変学びになった。
相手にとって意味があることを念頭において職員と対話・指導していきたい。
・自自分を振り返り、持っている力・未熟な点を認識できました。
ステップアップにつながりました。
・どうすればいいのか悩んでいないで、声をかけるといいという事。
コミュニケーションの大切さを学びました。
・まずは自分の感情をケアしてください、というのはまさに
今の自分の置かれている状態にマッチしていて驚きました。
やらなければいけない事も多く、考えさせられました。
・職員の成長したところ、いいところを言葉にして伝えていきたい。
・指導的立場で、実際の現場で生かせる手段・方法・アイディアなどを
学ぶことができました。
・人間関係、信頼関係の構築の難しさを感じました。
・保育園に笑顔の花が咲くリーダーでありたいと思います。
・「働きやすい職場作り」において、一人一人の価値観・育ちに違いがあるので、
それを意識し、耳を傾けていくことで、一人一人を大切にしていきたい。
・昔は…と考えず、現状を見つめ、若い職員はまたベテラン・中堅との
コミュニケーションをもう一度考えていきたいと思った。
・職員からの要望や苦情等にどのように対応したらよいか、いつも悩んでいました。
先生のお話を聞いてこれからの対応の参考にするとともに、
一人で抱えず、一緒に考えていけるようにしていきたいと思います。
・演習をまじえながらの分かりやすい講演でとても良かったです。
・たった1日でしたが、今の私にとって不足なものはなにか、
明日から実践できる内容で、とても実りある研修となりました。
・同じ立場の先生方が多く、話をしていて共感でき、情報交換の場にもなった。
・表現に困る場面について、具体的にお話を聞くことができ、
「こうすればいいのか」とすっきりしました。
・この研修自体が、私の心のメンテナンスになりました。
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リーダーや施設長・・・って、何をしたらいいか、じつは手探りですよね。
私自身、「いてくれればいいから」と言われたものの、
その真意が理解できず、あたふたする中で一年が終わりました。
初年度は、周囲の職員との信頼関係を築く年。
その次に、「組織ってなんだろう?」
「マネンジメントってどういうことなんだろう??」
~と、自分の置かれている場所を考えてたうえで
走りながら武器(勉強会や研修などの事項投資)を広い
「もしかして---?!」と見えてきたことを、
今の園内でのやり取りやにつなげて
立ち位置を生かして、園を良くするには?という切り口で
先生たちと一緒に力を合わせて、今に至ります。
そういった私自身の体験を身近に感じていただき、
現場でがんばっている皆さんの力になることがあれば、何よりうれしいです。
それぞれの園でやりがいを感じ、
笑顔の花が咲くチームワークが広がっていくことを心より応援しております!りやにつなげて
立ち位置を生かして、園を良くするには?という切り口で
先生たちと一緒に力を合わせて、今に至ります。
そういった私自身の体験を身近に感じていただき、
現場でがんばっている皆さんの力になることがあれば、何よりうれしいです。
それぞれの園でやりがいを感じ、
笑顔の花が咲くチームワークが広がっていくことを心より応援しております!