こんにちは、松原美里です。
10月27日に「保育はたらき方カフェ~ICTとはたらき方」を開催します。
それにちなんで今回は残業・持ち帰りについて考えてみましょう。
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各地で保育の業務に関するお話をする中で、
はたらき方改革・残業のお話をすると
キラキラした目でうなづく人が2~3割ほど。
(園で改革が進んでおり、気持ちよく働くことができている人)
どんよりとした諦めのような表情をする人が7~8割ほど
(現状に疲弊しながらも、毎日を送っている人)
いらっしゃるように感じております。
子どもと過ごす時間は、何よりの宝物。
やりがいを感じる。
その一方で、
保育業界の暗黙の了解として、
一生懸命にやっているから、仕事が終わらない。
「残業・持ち帰りは思いのある保育者の証」
~といった風潮もあるかもしれません。
覚えていく途中であり、要領がつかめていない新人さんは
やり方のコツを覚えるまで仕方がない部分もありますが
中堅さんの中には、
「この仕事、必要かな?」と疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。
とはいえ、自分から言うには角が立つので、言わずにいる。
ベテランさんになると、そういった仕事の流れがふつうになっており
淡々と業務を重ねていく人も多いのではないでしょうか。
子どもが常にいる業務の中では、できる仕事は限られており
時間的にも子どもと活動をする時間でシフトが組まれているところも多く
それ以外の時間で、残業として
外に持ち出せない個人情報などの業務をすすめるのが
当たり前という風潮もあります。
そうなると、作り物など
家でもできる仕事は持ち帰ってすることになり・・・。
職場でも仕事、家に帰っても 仕事のことを考えていて
休みでも休んだ気がしない---という声をたびたび耳にします。
もしも、仕事が生きがいで
「好きだからやっている」
「やっていることで、ワクワクする」という人は別ですが、
求められるものが多くなり、仕事の量も増えてくると
慢性的な疲労感が抜けなくなり、
この生活から抜け出し、楽になるには---と、出口を探すうちに
いつしか保育への情熱を失い、
義務感の中で毎日を送る人も少なくないようです。
終わりのない業務の中、出口を探すうちに
「そうだ、辞めよう。辞めたら楽になれる!」
~と、ある日から「辞めること」が目標になり、
笑顔で頑張っていたように見えた先生が
「もう、保育に悔いはないから。」
と、年度末で職場を去っていく---
そんな現状に、もどかしさを感じる人もいるのではないでしょうか。
かくいう私自身も、”残業・持ち帰り文化が当たり前”の園に就職をし
「こんなはずじゃなかった・・・。!」と葛藤を感じながらも
なんとか適応していった一人です。
当初は「おかしい!」と同期感で愚痴を言い合っていたにもかかわらず
転職し、どこの職場も似たり寄ったりのところがあるのだ……と
現実を受け入れてからは、大量の書類業務を進めるコツをつかみ
自分なりに進めて行くことにやりがいを感じるようになりました。
ところが、時は流れ。
ある学校法人の園の施設長をしている中で、
残業調査というものがありました。
社会全体の労務の流れからいち早く働き方改革を取り入れ、
組織全体の改革を進めようという先進的な取り組みでした。
当初は「保育で残業持ち帰りなしなんて、無理だよね。分かってないよ」
~とごまかして報告をしていた私ですが、
実態を怪しまれ、改善命令を受けてからは職員と一緒に
もしも残業・持ち帰りがなくなったら……どうだろうか?
~と、妄想をするところから始めて行きました。
すると、だれもがじつは「ないほうがいい」と思いつつも、
現状を踏まえて、あきらめていたことが分かりました。
そこから、みんなで考え始めました。
★そもそも、何のためにこの仕事があるのか?
★本当に必要なことは何か?
★不必要かもしれない…と思うことは何か?
★まず、何ならできるだろうか?
~そんな風に一つ一つの業務を見直し、
仕事の早い職員を業務改善担当に任命する中で
大事にしたい核だけ握っての行事の簡素化や必要書類の見直しなど、
手放し(やらなく)てもいいこと・大事にしていきたいことが見つかってきました。
残業・持ち帰りを減らして
休みの日にリフレッシュすることで
仕事にメリハリがつき、新たな発想や笑顔が増えて行きました。
今の園のやり方を変えたいなぁ……と感じたら。
これまでのあたりまえをなんとなく受け入れるのではなく、
「大切なエッセンスを、今の園に合わせてどう形にしてていくか?」
一石を投じてみる機会かもしれません。
魔法使いが現れて、突然現実を変えてくれればいいのですが、そうはいきません。
「誰かがやってくれる」のを待つのでは、なかなか現状は変わらないのです。
過去と他人は変えられませんが、未来と自分は変えられます。
保育の仕事に魅力を感じ、使命感を感じているあなたこそが、
園の改革リーダーなのかもしれません。
「あなた」が園のキーパーソンかもしれません。
園の本当に大切なこと・価値観に的を絞り
簡素化を図る取り組みを、語り合いから始めてみて下さいね。
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ひとりで考えるより、みんなで知恵を出し合いましょう!
10月27日開催保育はたらきかたカフェ
「ICTとはたらき方」ぜひ、ご活用ください。
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