こんにちは、スタッフの山本です。
本日も松原の記事をご紹介します。
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(2015年7月30日記事)
こんにちは、保育士コミュニケーション講座 講師の松原美里です。
今回は
「後輩指導のための4つのかかわり方とは?」
~というテーマでお届けします。
●保育現場の育成課題と現状
~「見て盗め!」は機能しない~
かつて、私が保育の現場に立った17年前は
先輩からの指導というと・・・
「見て盗め!」が主流でした。
「気づいて」
「考えて」
「先輩のやってることを見て、自分で盗むの」
~といった指導の中で、
ダメダメな新人だった私は
ダメ出しの嵐の中、かろうじて藁をつかみながら
前に進んできた記憶があります。
ですが、今の保育現場では、
「見て盗め!」は機能しない現状があります。
常に子どもがいる毎日の中で、
いますぐの即戦力・実践力を求めている現場。
時代の変化の中で保育業界も園ごとのマニュアルを整備し、
育成研修などを行うようになりましたが・・・。
実際には体感したり、失敗から学ぶ中で
独特の間合や兼ね合いを
身につけながら成長していく保育士の仕事。
同じクラスや場面にて実際にOJTを行っていても、
その人がこれまでに人と触れ合ってきた経験・
コミュニケーション体験量・生活背景・
これまでの職場経験・価値観によって人のアンテナは異なり・・・。
(部活や様々な体験を経て
バラエティ豊かな人とのコミュニケーションを体験している人・
核家族で他者とのかかわりが少なかった人・
地域性・家庭内の価値観・関係性など)
多様性あふれる保育現場において、
一人一人に合った育成を探りながら
行っていく必要があるのが、現状です。
●後輩育成の4つのかかわりかたとは?
では、具体的な育成には、
いったいどのようなかかわりが有効なのでしょうか---?
後輩育成の4つのポイントを
1.模倣
2.ティーチング
3.コーチング
4.ほうれんそう
~として考えてみましょう。
●模倣~従来の「見て覚える」もアンテナ次第
従来の保育の世界では「見て覚える」が、基本でした。
これは、
『先輩がしていることを見て、模倣(真似)し、モノにする』
ということです。
模倣とは・・・
「目の前で繰り広げられている物事を自発的に認識し、
何が大切なのか?なにが必要なのか?といった
問題意識目的意識・課題意識を持ってポイントを理解し、
自分にとって必要な能力を身に着けるべく、
試行錯誤を繰り返す状態」のことです。
これ、一言でいうと簡単ですが・・・
じつは、ものすごくハードルが高いことですね(笑)。
ハードルが高い・・・という理由は
人は、同じように生きて同じ空間にいても、
「見ようと思ったものしか、見えていない」
「聞こうと思ったものしか、聞こえない」
~ようにできているからです。
たとえ、目の前に
・素晴らしい保育の視点を持っている
・子どもへのかかわり方が愛情にあふれている
・前後を見通した時間配分が絶妙にできる
・子どもの心をくすぐり、上手に気持ちの切り替えができる
・たくさんの手遊びレパートリーを持っていて
・大人数を上手にまとめ、促す力を持っている
~先輩がいたとして、
一緒に組んでいる人が
「この先輩、すごい!」と気づかなければ・・・。
「どうしてこんなことができるんだろう?」
と問題意識を持って観察をしなければ・・・
「自分もやってみよう!」
とチャレンジをし、力量の差を実感しなければ・・・
「どうしたらできるようになるんだろう?」
と試行錯誤をしなければ・・・
永遠に成長にはつながらない――――
つまりは、本人の“意識”と“アンテナ”次第なのです。
では、意識が低く、アンテナが立っていない人が
「動ける」ようになるためには、
やはり一から十まで「教える」必要があるのでしょうか?
●ティーチングが機能するのは最初と、答えを求めている時
「教える」こと=ティーチングは、
最初の段階:右も左も分からない人には有効です。
まず、園に関して・保育に関しての『大前提』となる
基礎知識を蓄積していくためには
知識を吸収する段階が必要なので、
「ティーチング」が重要です。
マニュアルでの知識・現場でのOJT(現場での直接指導)
などがそれに当たります。
ですが、「教えてもらえる」のが当たり前になると・・・
「教えてもらえない時には、やらなくていい時だと思った」
「声が掛からないから、分からなかった」
~というように、
受け身な体制が身についてしまう人もいます。
目指すのは、
「自分で考え」
「状況を見極め」
「判断」し
「行動」
~をすることが、スムーズにできる状態になること。
そのためには・・・コーチングが有効です。
●コーチングで「体験から学ぶ」「気づき力を高める」
コーチングとは、
対話によって気付きと意欲を引き出し、
次なる行動へとつなげていくやり取りのことです。
私はCPCC(米国認定コーアクティブコーチ)
という資格を持っていますが、
保育の現場で実際に育成に関わる中で
特に役立つコーチングの技術は
○傾聴
心を傾けて相手の話を聞くこと
○観察・フィードバック
相手をよく見て、感じたことを伝え 気付きを促すこと
○承認
出来ていること・良くやっていること・存在自体への承認などを伝えていく
○質問
問い掛けを投げかけることによって、相手の意欲を引き出す
~ではないかと感じています。
コーチングのかかわりによって
「自分で考え」
「気がつき」
「体験から学び」
「次の行動に踏み出す」
サイクルが回り出すと、
本人の持っている力が少しずつ引き出されていきます。
「では、どうしたらいいのだろう?」
「せんぱいは、どうしているんだろう?」
・・・と自分の中にアンテナが立つことで、
あらためて 先輩を観察し、
どうすればいいのかを吸収するチャレンジが始まります。
(コーチングのこの感覚は、
私自身がクライアントとしてコーチに引き出してもらう中でも
スイッチが入るように
意識が冴える感覚としてよく覚えています。)
やはり、大切なのは合わせ技。
今回、それぞれのアプローチについて
有効な場面・さらに合わせ技として絡ませた方が
フォローが出来る場面などを
講座の中で事例を交えてご紹介をします。
さて、4つ目のポイントは---
保育の業務を円滑に回すために欠かせない、「ほうれそう」。
とはいえ、ほうれんそうもなかなかかみ合わない
現状があるのではないでしょうか?
さまざまな背景や感覚を持つ人が集まる現場において、
「えっ、これも報告した方が良かったんですか。」
「そういう意味じゃなかったのに・・・。
途中で相談して?」
~など、ザワザワすることが
起きているのではないでしょうか。
次回は、
「ほうれんそう」が機能するために必要なことを
考えてみましょう。
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以上となります。
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