「なかなか心を開いてくれない保護者がいるんです。
 
 こちらは、もっといろいろお話したいですし、
  お家での様子を聞きたい。

 なんですけど・・・
  いつも当たり障りのない挨拶だけで終わってしまうんです。」

~たとえば、保護者。

たとえば、同僚や先輩。

また、毎日顔を合わせている子どもの中にも
人懐こい笑顔を見せて甘えてくれる子と
あまり笑顔を見せてくれず、
遠い感じのする子がいるのではないでしょうか。

人との距離感は

人見知りなど、その人の特性によるところもありますし
深く心を分かち合い、いい関係を築いてきた人もいれば
人との関係性の中で嫌な思いをしてきた人の警戒する雰囲気などもあります。

また、人見知りを体験するほどに一定の大人と
安心感が持てるかかわりが持ててこなかった子は
その甘えをとことん受け止め、自分の存在丸ごとを
どんなことがあっても受け止めてくれるのかを試す段階に至るまで
人との境界線が見えないほどに甘えてくることもあり・・・。

その人が人生の中で人と接してきた・かかわってきた
関係性の在り方によっても変わってくる部分かと思います。

 

そんな中ではありますが、
「どうしたらいいですか---?」
~と尋ねられた時に、思い浮かぶ
「心の距離を縮めていくための段階」があります。

これは児童養護施設の職員時代に、子どもたちに「性教育」として
自分の身を守る距離感を教えていた時間の中で
私も学んだことなのですが・・・

私たち大人に置き換えてみても
「人との心の距離」が縮まっていく中での段階として
同じことが言えるのではと感じ、講座の中でお伝えさせていただいています。

こちらでもご紹介をさせていただきますので、
あなた自身に置き換えてイメージしてみて下さいね。

 

【すれちがうだけ】

まずは、「すれちがっても知らんぷり」な段階。
当然ですが、知らない人・関係のない人に対しては、私たちは
道ですれちがっても特に注意を払うことはありません。

逆に、突然話しかけられると
「わぁっ!」と驚くことがあるのではないでしょうか。
私たちは無意識にですが、多くの人とこういった関係性を体験しています。

【道で会うと、あいさつを交わす】

次に、「道で会うと、あいさつを交わし合う」段階。

地域の人も、何度かすれ違う中で
「あ、〇〇の○○さんだ」と認識ができ始めると
なんとなく、どちらからともなく「こんにちは」と
声を掛け合うことがあるかもしれません。

園に入園下さった保護者は、お互いに認識がありますので
「おはようございます」「おかえりなさい」と声を掛け合いますよね。

まずは、挨拶が人と人との関係性の架け橋となります。

【世間話をする】

そして、「世間話をし合う」段階。

何度か挨拶を重ねる中で、
「今日は寒いですね~。」
「春らしい日差しが気持ちいいですね。」
「オリンピックで〇〇、銅メダルですって!すごいですね~。」
~など、世間話ができるような段階に来ます。

世間話については、
「木戸に立てかけし衣食住」をご覧ください。

【打ち明け話をする段階】

じつは・・・と「打ち明け話をする」段階。
疑問に感じていることや、悩んでいることなど、少し深い内容になってきますので、
ある程度の信頼感の上に
心の距離がぐっと近づいている関係性です。

よく、新しい担任よりも
前年度の担任に相談をするのが切ない・・・というお話を聞きますが、
それは これまでのやり取りの中で信頼関係が深まり、
いろいろな話がしやすい関係性になっているからといえるでしょう。

【触れ合う段階】

そして・・・最後は、「触れ合ってもいい」と思える段階。

「先生、先生」といろいろなお話をしてくれる子がいたとして、
ハグ(抱きしめること)しようとすると
体をこわばらせて離れようとする場面もあるかもしれません。

その時は、嫌われていると捉えるのではなく
子どもにとってその先生はまだ
ふれあうには少しだけ緊張をする関係性
「世間話~打ち明け話」の段階にいるのだと認識することができるかもしれません。

その場合、ひとつ前の打ち明け話に耳を傾ける段階を丁寧に重ねていく中で
子どもの方から抱きついてくることもあるかもしれませんね。

* * * * *

いかがでしょうか?

 

それぞれの相手の心の距離感、一つ一つを尊重し、

丁寧に向き合うことで

結果的に心の距離が近くなり、

気が付けば次の段階のかかわりができている---

ということもあります。

 

焦らず、気長に 関係性を温めていきたいですね。