「先生、これはどういうことですか?」

~突然、保護者から思いがけない声が上がることがあります。

こういったお話は不意打ちでやってくることが多く、
対応した先生は一瞬動揺し、
目が泳いでしまうこともあるかもしれません。

明らかに、怒ってる。
説明のしようも、これ以上はないんですけど・・・!

そう思ったとしても、相手と対峙してしまったとき。

「困ったな・・・」と
背中に冷や汗が流れるのを
感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相手が安心できるかかわり方とは

相手の気持ちが高ぶっている時に、正論や理由を伝えても
理解し合えないことがあります。
(言い訳に聞こえてしまったり)

そんな時、どう対応すると信頼関係が築けるでしょうか?

この時の対応が、園への信頼を重ねるきっかけになるか、
重なる不信の一つにつながるかを分ける
旗ターニングポイントになることがあります。

今回は、多くの園でやっていることかと思いますが、
信頼関係を築くためのベーシックなかかわり方をご紹介します。

 

 

 

 

 

1.感情を受け止め、事情に耳を傾ける

まず正論や理由を伝え終えたら、相手の気持ちに寄り添いましょう。

「とはいえ・・・、大事な○○ですもんね。不快ですよね・・・。」
「納得が行かない気持ちがおありですよね・・・。」

と相手の側の感情に耳を傾け、
ヒートアップしている感情に焦点を当て、
味わってもらえるよう、寄り添いましょう。

「そうよ!!だって・・・」と、
保護者の方の思いドキドキや家庭の事情・
価値観・背景などのお話が出てくるのではないでしょうか。

よくよく話を伺っているうちに、少しすっきりして
論点の整理になることもありますし、
相手の側の立場に立った時に、共感できる事情が見えてくることがあります。

2.園に持ち帰り、ラインの共有を行う

お気持ちは受け止めました、ということで、背景などを踏まえて
「一旦、園で話し合ってみますね」と持ち帰る姿勢を見せることで
園としての寄り添う姿勢が保護者に伝わり、
「真剣に受け止めようとしている」と誠意が信頼感につながります。

そして、ここからが園が内側ですべきことです。
園内で「ラインの共有」を行うのです。

考えるべきは、

●この問題の論点・課題は何か?
ex:厚意と権利の線引き、連絡の行き違い、危険の可能性、保護者のエゴ、など

●保護者の願い・ニーズは何か?
ex:子どもの成長を見守りたい、不快な思いを解消したい、不安を解消したい

●園として、大事にしたい事は何か?
ex:安全確保、の社会性、

●大事にしたい事を守るため、歩み寄りが可能なのはどのあたりまでか!?
ex:10分まで、園の玄関まで、お預かりするところまで、
電話を入れるところまで、厚意のラインはここまで、など

~といったことです。

3.ラインを伝え、一緒に考える関係性を創る

こういったことを踏まえながら、保護者に対して

‐大事にしていること
‐大切にすることによって、Happyになる子どもの可能性
‐園としての思い
‐心配していること
‐それによって園・ご家庭にもたらされる可能性のあるリスク
‐できないこと

~といったことをお伝えし、

☆どんなことならできるだろうか?
・・・ということについて、一緒に意見を出し合ってみましょう。

一緒に子どもの未来を作るパートナーとして

謝る人・謝罪を受ける人/利害の相反する者同志ではなく、
一緒に子どもの成長を願う者同士として
「今後に向けてお互いに何ができるのか?」について
同じ側に立ち、子どもの未来を考えるのがポイントです。

持て余してしまう感情が、その時はあるかもしれませんが
時間を置くことで客観的に物事を見る時間が生まれます。

感情がおさまると、冷静になって 視野が広がる方もいらっしゃります。

考えてくれる人もいれば、
感情的になる方もいれば、
お話にならない方もいるかもしれません。

いろいろな方が居ますが、園としてのラインは握ったまま
何度も持ち帰って、
アイディアを出し合う話し合いを重ねていきましょう。

状況が変化してくることもありますし、
お互いの視点や視野・考えが
少しずつ変化してくることもあるでしょう。

そうする中で、少しずつ
歩み寄ることが可能なラインが見えてくるのではないでしょうか。

いま、コミュニケーションが不器用な方が増えています。
表面的な「感じの悪さ」に惑わされず、
保護者の心の奥にある思いを汲み取って言葉にしてみて下さいね。

子どものため、アイディアが出し合える関係ができてくると、
結果的にお互いの変化・成長につながる良い機会になります。

また、そういったやり取りをきっかけに、
園内のラインが明確になり、
一枚岩のチームワークを築く良いきっかけになります。

ピンチ(ヒヤッと体験)をチャンス(連携のきっかけ)に、
保護者との信頼関係を深めていきたいですね。