保護者と信頼関係を築くための言葉遣い~タメ語に要注意~
こんにちは、松原です。
保護者と話が弾むようになってきた。
いい感じで関係性が出来てきたな……と思っていたら、
なんだか途中からぎこちない感じがする。
気のせいかな?
話をしていると、時々ぴくっと保護者の眉毛が動く感じがする。
なんかまずいこと言っているのかな……?
コミュニケーションは得意だと思ってきたし、
話すこと自体には抵抗感はないけれども
ピリッとした空気になってしまうことがある。
自分では何がおかしいのか分からない。
保護者も忙しいのかな?
~そんな風に感じているあなたは、
もしかすると保護者から
何らかのサインを受け取っているのかもしれません。
お友達と話をする延長線上に、
保護者との会話を置いていませんか?
どんなに親しく話をしていたとしても、
保護者は子どもの親御さんであり、
子どもを真ん中に置いて
保育のプロとしてのパートナーシップを築くことが私たちの任務です。
あなたのお友達と同じような感覚でお話をするのは
控えたほうが良いでしょう。
では、どのように捉えると良いのでしょうか?
言葉の使い方には心の距離感が現れる
保護者のお話を聞くときに、
「うんうん」
「へぇ~。」
「そうなんだぁ」
と相槌を打っている保育者を時折見かけます。
相手のお話を一生懸命に聞こう。
気持ちをしっかりと受け止めよう。
~そんな気持ちが感じられますし、
一生懸命さが伝わり、好感も持てます。
その一方で……
表面的には笑顔で聞いている保護者であっても、
心の中でもやもやっとしたものが蓄積している人もおり、
何かがあったときにその蓄積していたものが、
爆発するようなこともあります。
また、
「お母さん、忘れてるよ!」
「大変だったね。」
「言ってなかったっけ?」
~と、何気ない会話の中で
サラッと友達言葉が出ている方もいらっしゃいます。
関係性が出来ており、
あなたのことを信頼し、心を寄せて下さっていて
言葉に関してはそんなに気にされない保護者であれば
そのまま特に何事もなく過ぎる日常の一場面ですが……
関係性に敏感な保護者からは
「なぜ、あなたにタメ語で話をされなければならないの?」と
シビアな目で見られることがあります。
ベテランの保育者の中には、
「あら、素敵じゃない!」
「おかあさん、いいのよ。そんなこと。」
「なんでも言って。待ってるから。」
~というように話をしている光景も目にしますし
見て学ぶ中で「こういうものなんだ」という認識で
やっているケースもあるかもしれません。
けれども、関係性は一人一人によって異なります。
圧倒的に違うのは信頼関係の土台の厚さです。
おそらく、タメ語でお話をされているベテラン保育者は、
保護者とのやりとりやこれまでに多くの関係性を体験した中での
存在感自体が説得力を持つような積み重ねがあるのではないでしょうか。
そこに醸し出される?安心感”が保護者を包み込み、
保護者の方からも敬意を感じているため、
保育者の方も保護者の気持ちをほぐくために
意図的に心の距離が近づくような言葉を選ぶことがあります。
けれども---
新人さんや中堅さんは、
まずは信頼関係を築いていくための土台作りとして
「プロとしての敬語」を伝えるようにしていくことをお勧めします。
丁寧語・敬語が自然に口から出るように
人は誰しも、「自分を大切にしてほしい」という願いを持っています。
まだ、どんな先生なのか 保育に向き合う様子を保護者も知りたいと思っており
信頼して託したいという気持ちと
信頼していいのか、不安な気持ちの間で揺れている保護者にしてみると
タメ語は信頼の土台がないところで
ポンと出ていたような違和感を感じることがあります。
「はい、そうでしたか」
「それはびっくりされましたね」
まずは適切な敬語・丁寧語を覚え、
丁寧な対応が口から出てくるように心掛けてみましょう。
<具体的には>
挨拶は敬語が基本です。
何かお話を受けるときには
「そうでしたか」
相槌は
「はい」「なるほど」「ありがとうございます」など
お迎えの人が変更になる、などの報告を受けたときなどは
「承知いたしました」
「どうしたらいいんでしょう?」などと質問を受けて
自分自身も分からないことであれば
「ありがとうございました。
確認し、あらためてご報告させていただきます」
困った表情をしているのを見かけたら
「いかがされましたか?」
やり取りをした後に不安そうな表情をしている場合には
「何か分からないことがありましたら、
いつでもお声掛けください」
~などなど。
先輩はどんな言葉で受けごたえをしているかに耳を澄まし、
自分でも敬語や丁寧語を真似ていくといいですね。
* * * * *
参考までに、先日保育新人研修にて
ロールプレイでやってもらった例を、ご紹介させていただきます。
こちらは、保護者とのやり取りと、
それを伝える園内でのコミュニケーション連携の場面です。
なりきって、言葉に出して読む練習をしてみて下さいね。
【電話対応】
<ケース1> 保護者からの電話
保護者:電話を掛ける
職員A:お電話ありがとうございます、〇〇(園)___でございます。
保護者:すみません、さくら組のまつもとゆうじの母です。
職員A:いつもお世話になっております。いかがされましたか?
保護者:今日のお迎えなんですが、私が時間が遅くなりそうなので、
お父さんになります。
職員A:そうでしたか。お母様が遅くなるため、お父様のお迎えに
変更されるんですね。承知いたしました。
保護者:はい。どうぞよろしくお願いします。
職員A:了解いたしました。お迎え、お待ちしております。
保護者:電話を切る
職員A:電話が切れたのを確認してから、ゆっくり受話器を置く
職員Aより、担任へ:○○先生、ちょっとよろしいですか?
担任:はい。なんでしょうか。
職員A:さくら組のまつもとゆうじくんのお母様よりお電話があり、
お時間が遅くなるとのことでお迎えがお父様に変更となりました。
担任:ご連絡どうもありがとうございました。承知いたしました。
あなたのご活躍を、心より応援しております。