こんにちは、松原です。

ただいまかかわらせていただいております、
静岡県のなかよし保育園。

先日、運動会がありましたが、
そこで感じた”成長にとって大切なこと”を
「悔しさを味わう」というギフト~成長の可能性を秘めた芽
として、シェアさせていただきます。

 

 

なかよし保育園では、「運動会のために」練習を重ねるというよりは
“日々の延長線上の中で体を使ってチャレンジをするきっかけが運動会”
~という位置付けて、練習を重ねておりました。

ですので、先生たちは小さな子が年長の子どもたちにあこがれを抱き、
チャレンジをしていくような気付きの場面をいくつも用意しています。

そんな中で子どもたちは
「やりたい!」「できるようになりたい!」「練習したい」
と目をキラキラさせていました。

印象的だった、綱引きの場面での出来事です。

年長児は、年中児と綱引きをしても力の上で勝てることが多いため
どこかでちょっと気が抜けて、”調子をこいていた”ところがありました。

このままだと・・・
本番で対戦をする姉妹園の年長児との綱引きで、負けそうだなーーー。
そんな危うい雰囲気が職員間に漂いました。

そこで、職員(少人数)対年長児の綱引き練習の際、
職員集団がどこからともなく アイコンタクトでニュアンスを共有し
ギリギリで「本気で」子どもに勝ったのです。

イケる!と思っていた年長児が、負けた。

それまで、楽勝楽勝!と思っていた子どもたちは
ポカーンと現実を受け入れられず、固まっていました。

そして少ししてからーーー涙が込み上げてきたのです。

「悔しい」と顔をくしゃくしゃにして泣いている子は次第に増え、
しゃくり上げるように泣いている子どもたち。

そんな様子を、頼もしそうに見守る、職員たち。

その後、姉妹園の年長との綱引き対戦では、
悔しさを力に変えて、湧き上がる力強さで勝利を得たのでした。

ここで、”悔しさ”をバネにした
子どもたちの成長と、はじける笑顔が印象的でした。

『子どもたちに悲しい思いをさせたくない。
嫌な思いをさせたくない。』

・・・そんな風潮がどことなく社会には流れつつありますが、
子どもを「泣かせない」ため、
「長引かせない」ためーーー
機嫌よくいられるように、大人が根回しをすることがあります。

けれどもそれは、誰のためなのでしょう?
対応をするのが面倒だから。
どうかかわっていいのか、持て余してしまうから。
ーーーというのも、一因にあるのではないでしょうか。

じつは感情には良いも悪いもなく、すべてが必要で大切なもの。

とことんまで味わい、自らの力に変えてこそ、成長があるのです。
それを、子どもたちが体現した瞬間でした。

本当の意味での成長を考えたときに、
「悔しさ」を味わう豊かさもまた、ギフトなのかもしれません。

*  *  *  *  *

この、“悔しさ”という感情にまつわるところでーーー
じつは、大人の側にもドラマがありました。

これまで40年間、雨であろうと、2回をのぞいては開催をしてきた運動会。

そのうちの1回が、昨年でした。

前日まで天気に願いをかけ子どもたちも練習を重ねてきたものの、
大雨の警報が発令され、「これは・・・!」という声が上がり、
止む無く中止をしたところ
開催予定時刻の一時間を回ったくらいの時刻から雨も止み、
昼過ぎには秋晴れの空が広がったのでした。

予備日に開催とはなったものの、
「できたんじゃないのかーーー。」
~そんなモヤッとした悔しさちが、職員にも保護者にも
どことなく、残っていたのでした。

今年は昨年に引き続き同じ方が保護者会の会長をされていたこともあり、
力強くサポートくださっているお父さんたちにも
「今年こそ・・・!」という気持ちがむくむくと湧き上がっていたのです。

ところが、当日は雨の予報が遅れに遅れて大雨の天気に。
「どうすれば、土曜日に開催できるだろうか」
~と、智恵を合わせたお父さんたち。
職員の許可を得て、雨が降り出す直前、金曜日のお昼過ぎから自主的に集合して
園庭にブルーシートを敷き始めたのです。

子どもたちは、そんな愛溢れるお父さんたちの姿を
ヒーローを見つめるように誇らしいまなざしで見ていました。

その後降り出した雨は夜半過ぎに大雨警報につながり・・・
その間も、22時過ぎ、4時半過ぎにと園庭の様子を確認しに来ているお父さん。

なんとーーー5時過ぎに、雨が上がりました。

そこからが、お父さんたちの本領を発揮してくださった場面です。
7時に集合をして、ブルーシートをはがした後、
水を吸い出す作業に総出で取り掛かってくれたのです。

その甲斐あって
園庭は雨の影響も感じられないまでの状態に回復し、
無事に予定通りの時刻とプログラムで運動会を執り行う流れとなりました。

ここで、先生たちもお父さんたちも
昨年の“悔しさ”をバネに、
「開催をするために何ができるか」に集中したところが素晴らしい。

言い訳なら、いくらでもできる。
けれどもベストを尽くした先にもたらされる笑顔があったのです。

この出来事から学ばせていただくことが、たくさんありました。

“悔しさ”ーーー
のど元を過ぎるときには 不快でもあり、
居心地の悪さも感じる感情かもしれません。

けれどもここに、次のステージへとつながる大きなギフトが潜んでいます。

思えば、私がAllAbout 「育児の基礎知識」のガイドに応募をしたのも、
コーチングの勉強をしながら通っていたアルバイト先で
年下の女の子に泣かされた悔しさが元でした。
「私は何をやっているんだろう。
こんな思いをするくらいなら、チャレンジをしよう!」
~それが今への布石になっているのですから、大切なきっかけです。

英語に真剣に取り組むようになったもの、
ICF(世界コーチ会議)に参加した際、不安ながらも必死で単語をつなぐ私に
「あなた、英語話せないんでしょう。 チェンジしてよ。」
~と吐き捨てるように言われた悔しさが元になっています。
あれがあるから、取り組み続ける筋肉が備わってきたのです。

あなたは“悔しさ”と、どう付き合っていますか?

自分自身の感情との向き合い方が、
子どもや周囲の人への“感情の接し方”にも表れてくるかもしれません。

子どもにカッコイイ背中を見せられるような大人で在りたいですね♪