堀 昌浩先生の園
栃木県 認定こども園さくらに見学にお邪魔させていただきました。

こちら、4月28日の保育はたらき方カフェにて
堀さんにお話をいただいた際に、
ワクワクする素敵な保育を見せて下さったので
ぜひ、園にお邪魔したい!ということで実現しました。

今回、気になっていた点は

1.プロジェクト型保育
2.先生たちのかかわり方
3.ICTの活用

~の三点でした。

事前にお話を聞かせていただく中で、
プロジェクト型保育実践の元書類となる『保育デザインマップ』を見せていただきました。

こちらが実際に活用されているという保育デザインマップ。

週のはじめは、一番左に最初の場面設定だけ書くそうです。

(その際、必要以上に決めたり、誘導にならないように。
そこから先は予測はするけれども、子どもたちの行動を見るまで分からない。)

赤:子どものつぶやき
 黄:子どもの姿
 青:保育者の行動

試行錯誤しながら、監査でも通用する書式になっていったそうな。

ちょうどこの日、入園説明会があったので
その中で印象的だった言葉と共にスライドをご紹介します。

 

・感覚的なもの・小さなころから積み重なってきたもの・
 小さな時に身に着けるのは、生きるための手段でもある。

・子どもの夢をかなえる保育
 ~宇宙プロジェクト~分からないものを探求しようとする心。
 一緒に楽しんでいける親子関係を支援

これらを踏まえて保育室にお邪魔させていただくと・・・

自作のステージでお友達と踊りたいと誘いに行くものの、
お友達は乗り気ではないようで あきらめきれずに何度かトライする子。

新聞紙をつなげて長縄跳びを作り、友達同士で相談をしながら
持つ場所・立ち位置・ルールなどを決めてジャンプを楽しむ子。

カードゲームをテーブルの端に並べていき、
独自のルールで鐘を鳴らしながら遊びに興じる子。

おままごと遊びとお城遊びの物語中で
(お城も子どもたちがかつて作った場の設定)
都度、思いついた設定から遊びを広げていく姿も。

さまざまなクラスで、さりげない日常の中で進められている
毎日の連続ドラマの今日の部分を、
定点観測で魅せていただいているような感覚でした。

先生たちのかかわり方は・・・というと、
これが実に、さりげない

子どもたちが自分の発想でその後の展開を自由に選べるように
環境設定が丁寧にされており、そこに表れるつぶやきや展開を見守り、
自然な興味が生まれるきっかけを用意していくのです。

何をしているのか、どんなことを考えているのか、
没頭しているのか、サポートが必要なのか・・・
考えながら、さりげない瞬間にスッと声を掛け、
全体を下支えしている感じです。

この世界観は、先生たちの共通の暗黙の了解によって支えられている。
では、感覚を全体共有するために---
どんな風にしてきたのでしょう?

堀さんに尋ねると、
「やってみて 遊びが止まってしまったり、
 みんなで振り返ったり試行錯誤しながら」今に至るのだそうです。

ちなみに、この「見守る」という感覚は?
「声を掛けようかな、と思った時に 一呼吸置く。
     --- そして考える。」
~とのこと。
なるほど、一呼吸置くことで客観的に場を捉えることができるんですね。

ICT活用に関しては、
「はたらき方カフェ」の時にもちらっとお聞きして
大変興味深く感じていたのですが
想像以上に園運営全体を下支えする仕組みになっていました。

「これだけだよ。」
~と見せて下さったのは、I pad touch.

 

こちら、各クラスで1台ずつ使えるようになっており(園で保管)、
ふだんの子どもの様子を写真で撮り、
トークノートに各クラスの子どもの様子を写真と共にUP。
監査でも、こちらを記録として提出することで、
紙面の印刷は必要ないのだそうです。

音楽を流すのも、スピーカーにつなげて、これ一台。

情報共有の仕組みとしては、
・職員間の伝達事項
・アレルギー対応
・ヒヤリハット
・園長より
・子どもへの対応
・採用関係
・Leaning Journey Project
……などなど、たくさんの項目があり、
園長先生がどこにいても、園で起こったことは随時情報が届く仕組みなっているそうです。

また、こちらの中には出席日数の管理ができる仕組みも。

こども園なので、幼と保で
出席日数計算のやり方が異なりますが、
ファイルメーカーで幼保の出席日数を
自動的に計算できる仕組みを創ったことで
先生たちの計算の手間が省けたとのことです。

なんて、画期的!

子どもの様子で印象的だったのは、
自分のやりたいことをナチュラルに選択し、行動している。
しなやかな自己決定を感じたこと。

お客さんに必要以上にべたべたする子もいませんでした。

また、ICT化のネックとして、
若手の先生は適応しやすくとも
ベテランの先生の抵抗感もあるのでは…?という点が
どの園でも共通の懸念点なのではないでしょうか。

こちらに関しては、たしかに最初は業務中にI pad touchをいじるということで
「いけないことをしているような気がする・・・!」
という声もあったそうです。

けれども、音声入力などもあり、
「新しいものを入れるためにはいらないものをなくしていく」
~負担を減らしていくことをやっていく中で定着していったとのことです。

とてもいい仕組み!
けれども、慣れるまでにはアクシデントも起こりそうですね・・・?

「ちょっとくらいの失敗は、かわいいもんよ。
 ミスを笑って改善していく!
 柔軟性が大事。やってみないとわからない。」

~そう笑う、自然体の笑顔が素敵な堀さんでした。

素敵な学びをありがとうございました!!