こんにちは、スタッフの山本です。
本日も松原の記事をご紹介します。
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(2016年12月15日記事)
こんにちは、
保育・育児アドバイザーの松原美里です。
12月10日に、
「働きやすい職場を作る人間関係講座」
を開催いたしました。
人間関係は、保育の永遠のテーマ。
質の高い保育実践を行っている園は
やはり人間関係が良く。
子どもに関する情報共有も新しい提案もチャレンジも
どんどん車輪が前に進んでいきます。
一方で、放っておくとすぐに事件が起こるのが、女の世界。
悪気はなくとも、ふっと放った一言に
周囲が負の共感を寄せると、
たちまち炎上する事態に陥るのです。
(私も若い頃、
更衣室に入れなくなる事件がありました)
今回は、そういった状況を良くしようと
高い意識を持った先生たちが
静岡・栃木からも足を運んでくださり、
事例を交えてワークやディスカッションをしながら
12月の夜空を沸かす、熱気にあふれた3時間となりました。
<以下、レジュメからご紹介します>
*「参加はできなかったけれども、必要としている」
~という方のお役に立てれば幸いです。
1. 園内の人間関係とは
保育士の離職理由No.1は、なんといっても人間関係。
お互いを尊重し合い、育ち合う園がある一方で、
子どもや保護者に心を砕く分、同僚には内弁慶になってしまう人・
悪口の花が咲き、居心地の悪い職場も・・・
“人ありき”の現場である。
相談サイトでは実際に人間関係を理由に
退職を考えている人の書き込み?!
~新人への叱咤激励・女性の職場ゆえのヒートアップ、
「良かれと思って」「他のやり方」を知らない場合も。
大切なのは・・・物事をポジティブな側面からとらえること・
全体の課題として捉え、調整していくこと
<保育を行う上での前提>
・一人ではなく チームで行う、保育。
~リーダー・サブリーダー・フォローで役割分担をして、
保育が回っている
一人一人がどうかかわり、「チーム」を紡いでいくのか?
・保育現場特有の人間関係のむずかしさは、
職員間の温度差・価値観の違い
・男性/女性
・新人/中堅/ベテラン
・20代/30代/40代/50代/60代
・生え抜き職員/他園を経験した職員
・保育の道一本/異業種からの転職
・保育に思いを持っている人/仕方なく保育をしている人
~働いている一人一人の背景によって感覚が違う。
「前の園では」「あの人とは合わない」「そんなのおかしい」
「どうして今、○○するの?」「どうして気づかないの?」
―――価値観の違い・感覚の違い・常識の違い・・・
ちょっとした感覚のちがいがが、不協和音に。
2. 園内の空気感を客観的に捉える
・だれがどんな影響力を発しているのか?
-前向きな発言によって全体を導くあの方、園長先生・主任・ベテラン・
気の強いあの方・なぜかみんなが顔色をうかがうあの方・・・
「この人の発言は、周囲に影響を及ぼす」という人は?
・その人の発言によって、どんなことが起こる?どんな関係性があるのか?
-その人がいるだけで園が明るく、前向きになる。やる気になる。
この人の意見は園で絶対である、「意見を出して」という割には、否定する、
なんとなく言えないムードがある・・・など言葉にならない空気感は?
・自分はどんな立ち位置にいるのか?
-気持ちよく泳がせてもらっている。
いろいろ教えてもらいながら、園を支えている中堅の一人である。
園長と現場の間を取り持っている、周囲の様子をうかがう新人、など。
<理想の状態に向けて、何があればいいのか?自分が出来ることは?>
意見を先輩に伝える・笑いを取る・場を和ませる・寄り添う・あたたかい場を作る…etc.
3. 人間関係を円滑にする 4つのポイント
ポイント1.共通の目的を確認すること
園・クラス・職員としての“共通の目的”を見つける
現状を知ること、目指す先を共有することで連帯感が生まれる
共通の「ねがい」は?
大切にしたいものは?
「 のために」
~ 保育の根っこは変わらない ~
保育の中で、どんな子どもに育ってほしいか?
どんな思いを持っているか?
子どもへの思いを語り合う時間を大切に
ポイント2.お互いの「ちがい」を受け入れること
「人はみんな、違うのだ」という前提に立つ
ちがいがあるからこそ、この世に存在する価値がある
ちがいを生かすためには、“ちがいの背景”に耳を傾けること
どんな価値観(生きていくうえで大切にしたいこと)を持っているのか?
チームワークは「ちがい」を受け入れ合うことから
・ちがいを面白がる
・ちがいがあるから、幅が広がる
・そこから何ができるかを出し合う
~先入観より、好奇心!
Q:保育の中で、大切にしていることは?
ポイント3.「批判」ではなく、「思い」に焦点を当てること
・批判的な意見の裏側に、その人が大事にしているものが見えてくる
・保育の中における“思い”として受け止める
ポイント4.リクエストを伝え合うこと
・陰口や文句は“リクエスト”として捉え直す
・園内を仲裁する人の存在が、鍵
・日ごろの信頼関係を築いておく
・要望を気軽に伝えあえる文化が居心地の良さにつながる
4.保育は感情労働
~仕事を通じて 人と“感情のやりとり”をしている
快・不快、嬉しい・たのしい・悲しい・悔しい・・・
さまざまな感情を
そばにいる大人に受け止めてもらうことによって獲得し、
豊かな成長を遂げていく。
寄り添う保育士にとっても、感情は大切な基盤となるもの。
人間は感情の生き物。
大人同士の間では「分かってほしい」という気持ちから、
感情表現が強めに・・・。感情によって、相手が驚いてしまうことも。
一生懸命に伝える ⇒ 「責められているのかな?」
余裕がない状況の中での伝達 ⇒ 「急かされているのかな」「感じが悪いな」
正論であっても、感情のすれ違い・ぶつかり合い・誤解から
不信感・チームワークに乱れが生じることも・・・。
●大切なのは、お互いの気持ちに寄り添うこと。
【自分の気持ちを認識する】
自分に起こっている気持ち・感覚に耳を傾ける
「あ、私今 イライラしているな」「なんだかモヤッとしているな」
「今、いい気分だわ」
~客観的になり、余裕ができる
【相手の気持ちに寄り添う】
判断や反論ではなく、相手の気持ちを受け止める
「あなたはそう感じているんですね。」
「悲しかったですね。」「それは嬉しいですね!」
~相手の感情に寄り添い、一緒に感じることがクールダウンにつながる。
【一緒に答えを見つけていく姿勢】
感情にひと段落つくことで、“答え”を見つける準備が出来る
「どうしていけるといいんでしょうね?」
●職員間も感情労働~気持ちよく働けるための配慮は?
・正しいことより、気持ちを尊重する
・声を掛け合う
・相手に関心を持つ
・情報共有・確認を心掛ける
5. まとめ
・園内の空気感にアンテナを立てること
~空気感・関係性・状況は変わり続けるもの。
滞ることのないよう、常に入れ替える意識が大切
・あなたが、園のキーパーソン
~非常勤・新人・中堅・ベテラン・主任・園長(施設長)・・・
それぞれの持ち味を生かして園を調整してく視点
・うまくいっている理由を大切にする
~要となる人の存在・連携・それぞれの認識・情報共有の現状
「すてきですね」「ありがとうございます」etcポジティブなフィードバックを!
<参加者の声を一部ご紹介します>
・現場での「あるある」がよく入っていて、
分かりやすかった。
大変なのは私だけではないんだな…と勇気づけられた。
・園内の人間関係は保育の仕事を始めてから永遠のテーマ
でしたが、今回の講座を通して、
みんなが働きやすい職場を作るには何が大切かを
あらためて学ぶことができました。
・まず、相手の思いを探ること。
言い方ではなく、本質を知ることから始めたいと思います。
・自分の声を聴いてもらって、
他園の方の意見を聴けたのがよかった。
・いま見えているものだけがすべてではなく、
一つ一つの言葉や思いの裏にある思いに気づけたのが
よかった。職員同士での話し合いや、思いを伝えたり、
一つのテーマに絞っていろいろな思いを知っていきたい。
・上司にも自分から話し合いの場を設けられるか聞いたり、
まずは担任同士からコミュニケーションを取っていこうと
思いました。
・保育について、人間関係についての悩みは、
みんな同じように持っているのだと分かった。
・人それぞれ違って、正しいことはないんだと感じた。
ちがいを尊重していきたい。
・思ったことは一度考えてから
良い言い方で相手に伝えようと感じた。
・講師の先生が具体的な例・言葉掛けを話されていたので、
分かりやすかったです。
・レジュメがあって分かりやすく、
一つ一つ丁寧に説明してくれたのがとても良かったです。
今回もワークがあり、ほかの人に伝えることによって、
再度自分の立ち位置だったり考え方が整理できた。
・苦手な人ほど相手の気持ちに耳を傾ける・
情報共有していく大切さが分かりました。
相手に「こうしてほしい」ときは、
オブラートに包んで伝える大切さも分かりました。
・「先入観より好奇心」この言葉、肝に銘じようと思います。
・陰口や文句は“リクエスト”として捉え直す
~この言葉、ズシンと響きました。
・相手の思いに耳を傾け、
心に寄り添うことの大切さも感じました。
・今いる職場の先生方の思いを大切にして、もう一度
「ちがい」を「受け入れ合う」ことを始めたいと思います。
私自身も、人間関係で悩んだときに
短大の先生から
「子どもが嫌いで辞める人はいないのよ。
みんな、人間関係なの。だから、もうちょっと頑張って。」
~といわれた覚えがあります。
そう。でも、当時の私は、やり方が分からなかった。
私のように心が折れてしまう先生が少なくなりますように。
一人でも多くの先生が、居心地の良い環境の中
周囲と知恵を集めて、
子どもの未来のために歩き続けていってほしい。
子どもが好きで、入った職場なんですから。
「子どものために」愛をささげている人の集まりなんですから。
形はちがえど、編み出していく新たな道を
陰ながら応援しております!
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以上となります。
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