こんにちは、松原美里です。

地味に反響の大きかった、
「有給という言葉を使ってはいけない」第二回目。

前回、「有給が40日残っているので、1〜3月、出勤しません。」

〜と言った職員の言葉を受けて、

本部に泣きついた私のお話の続きです。

 *  *  *  *  *

「こんなこと言ってるんですけど、
どうしたらいいと思いますか・・・?
自分の思いだけ突き通そうとしていて、
他にしわ寄せがいくなんて−−−本当に、ありえないと思います!」

〜と、憤りを感じている状況・
混乱した思いを本部の方に打ち明けることで
私の困り果てた状況を本部が理解して
本部からのお達しで 丸く収めてくれることを期待していました。

ところが・・・

学校法人であり、
これまでもさまざまな労務事例を持つ本部から帰ってきた答えは
私の期待をアッサリと裏切るものでした。

「松原さん・・・。それは、権利だから。」

なんとかしてもらおうとする私を残念そうに、慰めるように。

「それは働く人の権利だから、妨げることができないんだ。

     がんばって!」

——私はぽかんとしてしまいました。

えええええ!!!

 

がんばってと言われましても…

私がこれ、なんとかするってこと!?

頭の中が、真っ白になりました。

もう、だれも助けてはくれません。
本人を説得させる言葉も、見つかりはしませんでした。

 

途方に暮れる私をなぐさめるように、
事務長や他の職員たちは
「みんなで力合わせてなんとかしましょう。
 私たち、交代でクラスに入りますから。」


「何とかなりますよ。シフトは。
 もうこれ以上、平行線なんで。
 取ったらいいじゃないですか、有給。」

…と声を掛けてくれました。

〜結果、

もう一人の非常勤担任の先生と職員のローテーションでの協力のおかげで
必要最低限の会議や打ち合わせ・行事だけは出席をし、
彼女は、有給の全消化を決行しました。

(余談ですが、他のクラスに入った担任たちは、「新鮮だ」と楽しそうでした。)

 

“有休全取得決行”という嵐の後に残ったのは、
私自身の無力感と疲弊感でした。

なんだったんだろう…。

私が当たり前だと思てきたことは当たり前ではないということ?
いったい何が起きているんだろう…?

———とはいえ———

今回、彼女の事例を目にした他の職員は

「あ〜、有給って最終的にはこうやって取ることできるんだ」
…と、心のメモ帳に書き留めたことでしょう。

「今後、もしも辞める時に有給がたくさんあったら
 私も3ヶ月、休めるんだ。」

〜そんな風が吹き始めてしまうと…

『どうせ辞めるから、人には迷惑をかけたって構わない』
〜と、無理やりにでも有休をとる権利を主張する人が横行し、
がんばって続けようとしている人は、相変わらず有給を使えない———。

…そんな、
“がんばっている人が、報われない風土”
となり、職場が荒み、モチベーションが下がっていく恐れもあります。

*私はネガティブなので、最悪の状況を予測イメージする傾向にあります

そんなの、困る!!!


〜そこで、他のところはどうしてるんだろう?と
情報収集をし始めました。

当時インターネットで調べる中では、
保育園で有給を存分に使っているところの情報というのは
なかなか出会うことができず。

検索をする中で、日本財団が主催している
様々な業種の働き方改革
〜幸せに働くための切り口でのイベントを見つけることができました。

そこで、皆さんからの意見や情報を募る中で
ある方のファザーリングジャパンつながりの保育園の園長先生による事例で
有給を活用して職場を活性化させているというお話を教えていただきました。

早速情報共有してもらう中で、
年間の中で先に有給が取れる日撮りたい希望の日を募り
予め予定に組み込み、
みんなで調整をするというやり方をしていることがわかりました。

その園はなんと、
平均有給取得率が80%越えだったのです。

とくに人が多いわけでもなく、お金もたくさんあるわけではない…
その辺の条件は、私たちと変わらなそうでした。

〜それを知り、
こんなことができるんだ!と、正直私は驚きました。


有休は使えないもの、というのは思い込み−−−?

もしかすると……「人がいないから」「お金がないから」
「有休は、余裕のある時しか使えない」というのは……
思い込みだったのかもしれません。

〜その後私は、新年度の始まりの職員会議で
全体に問いかけてみることにしました。

「先日の退職される先生が
 有給を最後の3ヶ月で使い果たしていった事例を踏まえて、
 皆さんも感じるところがあったのではないでしょうか。

『あーこういうことできるんだ』
と心のメモ帳にメモを取った人もいるかもしれない。

『迷惑だなあ』
と思った人もいるかもしれないし、

『私は人に迷惑かけないように工夫をしたい』
と思った人もいるかも知れません。

けれどももしかしたら誰にもの中にあるかもしれないのが
『有給を取りたい』
という思いなのではないでしょうか?

 

正直、私自身は
『有給なんて、もらえるだけ在り難いと思え』

と言われてきた世代なので、
あの先生の強い押しに、始めは驚きました。

けれども、本部とのやり取りや
ほかの業界の方たちとの情報交換を通じて
じつは、有給って権利なんだ!
と、気づいたのです。

私自身が、
『取ってはいけないものだ』と思ってきただけなのかもしれません。

どうです皆さん。
ホントは有給、取りたいですか?」

〜そう聞いてみたところ、
集まっているベテランから新人まで全員が
一瞬はっと息を飲んだかのようになり、目が泳ぎ始めました。

お子さんの学校行事や、
ご家族の介護に直面されている人もいます。

どうしよう・・・。
本当は取りたい。
でもここで「はい」なんて、言えない・・・。

そんな雰囲気です。
それもそのはず。

なぜなら私たちは

「有給を取りたいなんて言ってはいけない」
「思ってもいけない」
と教育されてきたのですから。

その空気を感じて、私はもう一度 話をしました。

「本当は取りたいですよね。
 私も本当のところは——
 気持ちよく有給が取れたらいいな、って思います。
 いろいろ事情もあって難しい現実もありますが・・・
 ホントは有給が取りたい人———?」

<長くなってしまいましたので、その3に続きます>