こんにちは、松原美里です。
各園では保育指針の改訂を受けて園内の仕組みを見直したり
これまでの保育の道のりを踏まえて
子どもへのかかわり方を試行錯誤をされている園。
キャリアアップの取り組みを受けて、
どうやって今の体制の中で 勤務から研修に行かせてあげられるかと
模索をされている園も多いのではないでしょうか。
そういった流れと並行して、
保育者が疲弊して離職するのではなく
やりがいを感じて輝ける職場作りも課題となっています。
~保育者の働き方改革8回シリーズ、第一回目は
「有給という言葉を発してはいけない!?」でお届けします。
「有給という言葉を発してはいけない!?」
みなさんの園では、有給というのはどのようなものでしょうか?
・特に必要性を感じていない
・病気の時のために残しておく。
その他は、なかなか言い出せない
・どうしても・・・という用事のある時に、相談をしてとることができるもの
・みんなで声を掛け合って、わりと使うことができている
~などなど、園によって有給の意義や扱いも様々かと思います。
各地で研修を行う中で有給について尋ねると、
なかなか思うようには使えない・・・というところが6割。
相談をすれば使えるように調整できる・・・というところが2割。
どの地域でも1割の園は「有給が使えている」と手を挙げて
取り組みを分かち合ってくれる傾向にあります。
(松原、挙手制にて各地で情報収集の結果より)
有給を自由に使えているという園は
先生たちもご自身の園のことを前向きにとらえ、
誇りに感じながら学びに来ている傾向にあるようで、
先生たちもいいリフレッシュの機会を得て、
前向きにお仕事に取り組むことができているのではないかと思います。
ですが・・・現実的には
なかなか有給を思うようには使えない園も少なくないのではないでしょうか。
じつは、私自身もそういった園に入職をし、時代の流れに衝撃を受けながら
有給とともに歩むことを学ばせていただいた一人です。
では、理想としては どんなふうに有給と歩んでいきたいですか?
●「有給という言葉を口にしてはいけない」という暗黙の了解があった
↓
●有給を取るのは、権利である、という衝撃を受け、
これまで自分が信じて疑わずにきたことを、見つめ直す心の揺れが起こった
↓
●情報収集をする中で、「できるのかもしれない」と気が付いた
~これまでは、「できるわけがない」と思い込んでいたので、考えもせずに否定していた。
↓
●できるとしたら・・・どうしたらいいんだろう?
前向きに知恵を集めたことによって、大きく動き出した
~といった物語を通して、
みなさんの園の仕組みを見直す入り口として役立てていただければ幸いです。
* * * *
有給・・・
かつての私は、その言葉は発してはいけないと思っていました。
<保育士入職一園目での出来事>
私 「あの~、有給ってあると思うんですけど。
いつ使ったらいいんですか?」
先輩「あなた・・・何言ってるの?1年目のくせに。
有給なんて取れると思わないで。
有休っていうのはね、園から『いただく』ものなのよ。
自分から欲しいなんて言ってはいけないの。
いただけたら『ありがたい』ものなのよ」
私(先輩、怖かったな…。
ああ、有給って、自分から口にしてはいけないんだなぁ~。)
~そういった流れの中にあり、
児童養護施設に転職した後も
日常の中で有給と言う言葉を発した事はありませんし
有休を使うのは風邪をひいた時・熱を出した時……
シフトを作りながら
「人が多くいるから、この辺は休んでもいいよ」
と先輩や上司から声をかけていただいて
ようやく取ることができるものでした。
(最終的には児童養護施設を退職するときに
1ヵ月分を有給に当てさせてもらい
有給消化という形を取っていました)
そんな意識でいた私の前に現れたのは、
認定こども園に代わる直前の保育園で
施設長していたときの部下でした。
名残惜しまれながらも3月で退職をする意向を聞いていた11月。
「先生、ちょっとお話があるんです。」
~と、何気ない会話から始まりました。
「先生。私、有給があと40日残っていますよね。
有休消化したいんので、1月2月3月は出勤しません。」
(えっ―――!? 何を言っているの?)
私は日本語の意味がわからず、ポカンとしてしまいました。
うろたえながら
「確かに40日残ってはいるけれども、
有給と言うのは業務に支障のない範囲で
人に余裕があるときに取れるものですよね。
あなたの都合で3ヶ月も取れるものではないんですよ。
大体あなた、担任でしょう。子どもはどうするの?」
・・そういう私に、
「クラスはもう1人の担任がいます。」
「もう1人の担任は非常勤です。
非常勤だけで見ればいいっていうんですか?
それは無責任ではありませんか。
有給は業務に支障のない範囲で取ることができるもの。
残念ですが、それはあなたのわがままであり、
他の人にしわ寄せが行ってしまうのでお受けすることはできません。」
「一緒に見てきたので大丈夫です、できます。」
「そういうことではなくて、人に迷惑をかけることを理解していますか?」
「でもこれまで取れなかったんですよ。
今使わないで、いつ使うんですか。絶対に納得できません。」
「私には休む権利があります」
「有給を自己都合で使うなんて、ありえない!!」
~そう信じていた私は、何度も説得を試みたものの、
何度話をしても、平行線。
彼女の心は変わりませんでした。
正直、私も困り果ててしまい、
園や学校をまとめている本部に泣きつきました。
<本部に泣きついた結果は・・・その2に続きます>