(2016年2月記事)
こんにちは。
保育士コミュニケーション講座
講師の松原美里です。
2月13日のコミュニケーション講座、
テーマは「童謡でコミュニケーション」です。
内容にちなんで、今回は
「世界観を体現し、情感を育む童謡の魅力」
というテーマでお届けいたします。
【歌詞を通して情景・情緒が心を動かす】
童謡には素敵な響きや情景をうたったものがいくつもあり、
やさしく分かりやすい言葉を通じて
情景がありありと浮かんでくるのではないでしょうか。
たとえば・・・「虫のこえ」
「あれ、マツムシが・・・♬」
と子どもたちが歌う声を聞くと、胸が熱くなります。
おそらく、歌詞を通じて
その光景のイメージが広がるからなのでしょう。
この曲の中ではやさしいメロディラインで、
虫の存在を通して
夏から秋への移り変わりを表現しています。
なんでも、虫の鳴き声を「音」としてではなく
「声」として捉え、そこに「情緒」を見出すのは
「風情」を感じる日本人ならではの感性だそうです。
日本には「わび」「さび」という文化がありますが、
室町の貧しい時代の中において
限られた自然や景色の中にある豊かさ
=美しさを見出してきた感性のたまもの。
そういったDNAが、
私たちに脈々と受け継がれているからなのでしょう。
【世代を越えて親しめる歌である】
また、これからご紹介するのは私の大好きな3曲。
「ふるさと」
やさしくも美しいメロディと
奥深い日本語の響きに、
思わずうっとりと情景に感じ入ってしまう曲です。
物語が展開して行く中で、
おじいさんと古時計との思い出や
関係性が見えてきて
歌い終える時には涙が浮かんでくる、
少し切ない曲です。
「ゆりかごの唄」
寝かしつけの場面で、児童養護の時も
今の保育園でも何歳の子どもに対して歌っても
時がゆるやかに流れ、
穏やかな優しい気持ちになる素敵な曲です。
~どれも、タイトルを聞いただけで
曲が浮かんでくるのではないでしょうか。
歌は私たちの記憶と密接にリンクしています。
その時々の流行の歌というのは
時代が変わるなかで
世代間ギャップを生むものでもありますが
童謡の魅力は、子どもにも親しみやすく
お年を召した方にはたくさんの思い出が重なり
感慨深さが増してくるようです。
老人ホームを訪問した際、
よくお年寄りと子どもたちが歌を歌いますが
そこには年代を越えて心の通うひと時があります。
これもまた、童謡の魅力ですね。
【言葉で世界観を表現できる】
また、私が特に歌詞を大切にするようになったのは、
ボーカルトレーニングの先生から
ただ歌詞をなんとなく歌うのではなく
「言葉に思いを込めて表現する」ということを
ご指導をいただいたことが、大きくあります。
言葉には、表現する世界観がある。
「その言葉が、何を意味しているのか。
味わいながら、表現する」のが、“歌う”ということ。
それによって、立ち現れてくる世界が
全く変わってくるのが不思議です。
だからこそ、
さまざまな経験や体験を経てきたであろう
私たち大人が思いを乗せて歌う歌には、深みがあるはずです。
それぞれの曲があらわす世界観を体現する中で
子どもたちに“ぬくもりのギフト”を渡していきたいですね。