こんにちは、スタッフの山本です。
今回は、保育士を目指す男性と対話をお届けします。
保育士ではない私も、とても考えさせられるような、内容です。
代表の記事をお読みください。
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先日、ひょんなご縁で
「自分は保育士を目指しているのだけども、
向いているのか?実際にはどんな仕事なのか?分かりません」
……という男の子と、お話をする機会がありました。
おお、未来の新人さんか♪
……というわけで、
なかなか伝える機会のない「保育のお仕事」について
小一時間ほどお話をさせていただきました。
いただいたいくつかの質問を、
これから保育のお仕事を目指している方のお役にたてれば……と思い、
シェアさせていただきたいと思います。
まず、
「保育士のイメージは?」
「どんなところに憧れたの?」
~という問いかけに対して、返ってきたのは
「子どもと楽しそうなイメージ」
「子どもが好きなので、子どもの近くで仕事が出来れば…と思っています」
とのこと。
おお~!その気持ち、分かります。
じつは私の保育業界を目指したきっかけは
幼稚園の時の先生がとっても優しくて素敵で、
「先生みたいになりたいな」という憧れがあったから。
先生のように、優しい笑顔で
毎日、子どもたちと一緒に楽しく過ごす。
~そんなイメージを持って、短大に入りました。
「うん。そういうイメージだよね。
……じつは、正直なところ 楽しく遊んでいるのは3割くらいかな。
じつは役所に見てもらったり園で保存をしておく子どもの成長記録を大量につけたり。
子どもの笑顔ために行事の準備をコツコツしたり。
子どもに危険がないように、掃除や整理整頓を徹底したり…
……見えない仕事も多くあるよ。
とはいえ、遊んでいるように見える“3割”も、
笑顔で子どもたちに接しながら、
全員がいま、何をしているのか把握をしていたり。
危険なことはしていないか、注意をして見ていたり。
ケンカやけががあったらすぐに止められる態勢を心掛けていたり、
(気持ちはいつでも反復横跳びできる、みたいな態勢です。)
子どもが大事なサインを出していたら受け止められるか……など、
様々なところに気を配っているんだ。
なので、実際には
“遊んでいるように見えて、神経が張り巡らされている状態”
なんだよね。
こんなことを言うと、夢を壊しちゃう様で申し訳ないんだけど……
でもね……子どもたちは、ほんっとうにかわいい。
そして、始めは思ってもみなかった“別の喜び”が 保育士にはあるんだよ。
それがーーー「成長の喜び」だよ。
昨日まではハイハイをしていた子どもが、
ふと見ると 手を放して立つことができるようになっている。
日々成長していく子どもたちと間近で触れ合えて、
幸せな発見や感動を味わえる仕事。
そういった発見を、日々 親御さんと分かち合って、喜び合えるんだよ。
そして、自分自身も子どもを支えたり学んだりする中で
一緒に成長していくことが出来る。
何より、「成長の喜び」が保育士のギフトなんじゃないかな。
「へぇ~……。
イメージとはちがったけど……。
自分、子どもが好きなので やっぱりおもしろそうです。」
ここからは、実際に彼から上がってきた質問をQ&Aにてご紹介します。
Q:保育士に向いている人・向いていない人はいるんですか?
A:業務を身に着けていくまでには、多少の時間はかかるけれども
「誰かのため」に「何か」をするのが好きな人なら大丈夫!
私も相当ダメダメな新人だったけれども、
「子どものために」が心の支えになって、少しずつできることが増えていったよ。
そこから、「周りを見回す目」を身に着けていけばいい。
初めはなかなかできないかもしれないけれども、子どもとの時間を重ねていく中で
いま、子どもたちに何が起きているのか?
何を必要としている場面なのか?
「見て」「考えて」「自分で動く」ことが出来るようになればいいんじゃないかな。
Q:保育士になるために、今から準備しておくといいことはなんですか?
A:感性を磨くこと。
自分の得意を磨くこと。
子ども目線の情報に、敏感になることかな。
子どもたちは、20年後の日本を担う存在。
その頃、日本や世界は激動の時代を迎えていることと思う。
そんな中で生きている子どもたちにとっては、
「感じ取ること」「考えること」「自分で判断をしていくこと」が大切になると思う。
私たちが彼らにしてあげられることは、様々な経験をさせてあげること。
季節の行事や制作活動なども、子どもの感性を養う基礎となる。
だから、そこを支える保育士こそが、豊かな「感性」を持つ存在であることが大切だね。
かかわる大人の「幅」が、子どもへのギフトになるから。
私も短大のとき、 「感性を養いなさい」と先生に言われたなぁ---。
当時はなんのこっちゃ?と思っていたけれども 今はその意味がよく分かる。
制作をするにしても、お遊戯をするにしても、全ての監修を保育士がやるんだよ。
その保育士の感性が、子どもの可能性を引き出す。
だから、演劇や美術や自然など、
様々なものに触れて自分の土壌を耕しておくことが大事だね。
そして、君が例えば何か得意なことがあるなら(ギターだそうです)、
その技を磨いて、子どもたちのために生かせばいい。
個性豊かな保育士は、子どもにとっての豊かな「人的環境」だから。
君の好きなこと・得意なことを、磨いたらいい。
ちなみに、子どもの好きなアンパンマンとか今どきのアニメも知っておくと
子どもたちと話題が弾むよ♪
Q:つらいことはありますか?
A:誰かに何かを言われて……という人間関係の悩みよりも、むしろ
「こうなりたいのに、“理想の状態に対してなかなかそうできない”自分へのもどかしさ」
~のほうがつらいんじゃないだろうか?
結局は、向き合うのは自分。
焦る気持ちはあるけれども、目の前の子どもと信頼関係を作ったり
流れを体で覚えていく・見る(観察する・感じ取る・見守る)目を養うなど
一つ一つ乗り越えていくしかない。
けれども、自分と向き合うのは ほかの仕事でも一緒だよね。
Q:行き詰ったときはどうしていますか?
A:先輩に相談をするのもいいし、何より私のおススメは「気分転換」!!
(ちょうど、少林寺の道場に通っている男の子だったこともあり)
たとえば、練習に来て 無心で基本に打ち込む。
必死で汗を流して、試行錯誤をするうちに思考回路が切り替わり
客観的に仕事のことを考える視点ができる。
あとは、全然違う視点を持つ人にアドバイスをもらってみたり。
そういった意味では、少林寺の皆さんは打ち上げとか納涼会とか、
みんなでご飯を食べに行く機会があると思うのだけども
そういうときに必ず参加したほうがいい。
おもしろい視点や、失敗談・成功談を聞かせてもらううちに風穴があることがあるよ。
自分一人では知ることのできない世界を、
様々な人の体験から学ばせてもらうことが出来るから
意外とヒントになる気づきがもらえることがある。
Q:自分が保育士になるときには、保育士はいらなくなっていますか?
A:きみが保育士になる……とすると、4年後か6年後だね。
たしかに少子高齢化で子どもの人口が減っているから、普通に考えたら
保育園もいらなくなるはずだし、保育士の数も頭打ちになる……と思うよね。
けれども、いま 国の政策で 国力を維持するためのも女性の労働力が絶対的に必要なの。
子どもを産んでもらわないことには国は先細りになるから、そこは促進するとして
女性が活躍するためには、保育園が必要だよね。
もちろん、そのための育休制度の整備なども国は進めているんだけども
そういう背景もあって、今後、今は働いていない(働くニーズを感じていない)女性も
子どもを預ける傾向になると思う。
だから、少子高齢化だけれども「待機児童」だし、“保育園は増えている”んだよ。
現在、保育士はどこも引く手あまたな状況だし、4年後・6年後も、まだこの傾向は続くと思うな。
保育士になった後は 今は園長や施設長の世代交代も珍しくないから
私みたいに施設長になって全体を統括していくのもおもしろいと思うよ。
こんなやり取りを経て、彼は「頑張ってみたいと思います!」
と、地に足の着いた笑顔で帰っていきました。
仕事はどれも、楽しいことばかりじゃないかもしれない。
けれども、同じ努力をするなら、自分が生かせるところで。
努力が苦にならないところで、積み重ねていったらいい。
彼にとって、それが保育業界なのか?
はたまたちがう業界なのか---?
いずれにしても、エールを送りたいと思います♪
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