お世話になっておりますJIAMにて、今年は

「不安と使命感のはざまで最善の答えを導き出すコミュニケーション研修」

~というタイトルで、研修を担当させていただきました。

概要は、以下の通り。

新型コロナウィルスの影響でリスクと背中合わせの保育を行う園・
これまでのやり方を見直す岐路に立ち、新たな仕組みづくりに乗り出す園も増えてきています。
それぞれの価値観や温度感など違いが見え葛藤も起こる中で、
子ども・保護者・同僚とともに「共通の理想の状態」を目指し、
心を一つにアイディアを紡いでいくことができる園の風土・
コミュニケーションのポイントについて、理解を深めます。

当日は、以下のような流れで行いました。
(こげ茶色部分はレジュメ、グレー部分は松原補足)

1. 事前アンケートから

皆さんに事前にいただいた声を集めてみました。

・日々、コロナ対策に追われてしまう
・業務の多さでコミュニケーションの時間が取れない
・若手職員の育成の難しさ~指導・リーダーシップコミュニケーションの課題
・保育現場・活動への要望が高まる一方で、保育者の経験不足を感じる
・保育の工夫・園内研修の在り方など、多延の様子を知りたい
考え方の違い・保育者一人一人の課題に、職場としてどこまでかかわったらいいか?
・行事の延期・見合わせを保護者にどう伝えるか?
保育者間・保護者とのチームワーク・信頼関係をどう再構築していくか?
取り組みを進める中でこどもを見る足並みが揃う。地域の連携を深めていきたい

2. WITHコロナのコミュニケーション

・自粛期間の影響
 途切れ途切れのコミュニケーション~クラス運営・新人育成にも2か月の遅れ

・オンライン保育の活用

SNSツールを活用した家庭・こども・園をつなぐ保育
休園・登園自粛保育中の家庭をつなぐオンライン保育のアイディア

・テレワーク中の保育者 ~ 自主研修としてできること

読書・動画・保育用品の作成
保育の自粛期間、テレワーク中の保育者の研修でできること

・保護者との関係性

声を掛け合える保護者・こどもと向き合う機会となる一方で
思い詰めてしまうケースも…フォローアップの重要性

・チームワーク

園の目指す方向へ向けて、力を合わせていく”チーム“の関係性を創る
どこまでをチームと認識するか?
~各クラス・乳幼児グループ・園全体・保護者・地域・・・

Withコロナの中でのチーム

安全欲求を丁寧にフォローする中で、チームワークの見直しを
~不安を口にできる、受け止め合える関係性を
自分とのコミュニケーション
「がんばろう」「気を引き締めて」「しっかり」はNG、「ほどほど」に。
弱音を吐いてもいい
参照:うめちゃんねる WITH掛札逸美先生「コロナ禍の中であなたの心を守るために」

~ここまでを踏まえて、これまでは書き出したものをシェアし、
話して共有をしていただくのですが今回は
「身体的には密を避けつつ、心は密なコミュニケーション」をテーマに
このような形式にて

 

<今感じていること・目指す状態を、紙に絵で描いてみましょう>

~とし、それぞれの感じていることを描きこんでいただいた後
(描く、というプロセスは、今の自分の心と向き合い、目指す方向を明確にする
とてもいい機会になったようです)

マスクをした状態でお互いの描いた絵を見せ合う中で、
「私だけじゃないんだ」とうなづきや笑顔が花咲く
静かで心が通う時間となりました。

3. 危機をチャンスに変える発想力

WITHコロナは、危機と背中合わせではあるのですが、これまでずっと変えられずにいたことを
これまでの当り前が通用しない今、
気になっていたことを見つめ直すチャンスでもあります。

とはいえ、漠然と楽観主義で居ては、園や子供たちの安全は守れません。
まずは、「こうなったらいい」という状態

*ハイドリーム:(最高の状態)
~について、こちらのレジュメに書き出してもらい





~そうなるためにできる工夫・配慮とは?

→ こちらを、付箋に書きだしていただくことに。

その後は、あまり考えたくないであろう

* ロードリーム:(最悪の状態)
~について、レジュメにリアルに思い描いていただき・・・





~そうならないためにできる工夫・配慮とは?

付箋に書いてみましょう!ということで書き出していただいたものを

 

 蜜を避ける形で、それぞれタイミングをずらして張りに来ていただき
 休憩時間を通じて私の方でグループ分けをし
 そこに応えていく形で最後のパートをお話しさせていただきました。

 コロナ禍をネガティブにとらえるのではなく、
 打てる手をすべて打てこれからに備えるチャンスに変えていくーーー。
そういった姿勢がこれからにつなげていくための大切な布石になります。

 そして、「今だからこそ」と改革に着手し始める中で、起こりえることとして
 園内での「これまでのやり方を大切にしたい派」と
「新しいことを進めて行きたい派」との衝突があるかもしれません。


ここを、無理やり推し進めていくと・・・ついて来れない人が出てきたり、
衝突で傷つき、職員が去っていくーーーということも起こりえます。

 ただでさえ、精神的に不安定になりやすいWITHコロナ期に、
 職員を大切にしながら改革を進めて行くにはどうしたらいいのでしょうか?
 ここで、

変化に際して、起こること ~ プロセス思考心理学の観点から ~

・・・として、

●一次プロセス これまでの当り前
●二次プロセス 新しいやり方
●エッジ
~の概念をご紹介させていただき、

 ~大切なのは受け入れながら、寄り添っていくこと
であることをお伝えさせていただきました。

4. チームを導くリーダーシップ

 ~以上のことを踏まえて、WITHコロナのリーダーシップとは、
 答えのない中で、情報を収集しながら、リスクマネジメントの手を打ち
 職員の叡智を集めて光の差すほうへと導いていく背中を見せることであることを
 以下の要素を元に、ご紹介させていただきました。

●プレイヤーとリーダー 視点の違い
<プレイヤー>
保育の見通しがつき、一通りのことができる

<リーダー>
プレイヤー業務への重要性を下げ、理想の状態へ向けて、それぞれが
力を発揮することで全体的に円滑に物事が進むための優先順位を上げる

●恐れからの動機か?愛からの動機か?
「自分がいなきゃ、まわらない」(恐れ)
「これをしないと、自分の居場所がなくなる」(恐れ)
→全体が○○になるように、○○を選ぶ (愛)

●リーダーの役割とは
リーダーシップとは、旗を立て、モチベーションを上げて導くこと
目標へ向けて主体的に行動するチームを創ること
チームがうまく回るための仕組みを作ること・人間関係への配慮

●リーダーの魅力とは―――
・広い視野を持ち、的確な判断ができること
・「この人のために」と慕われる人間力
・いざという時に腹を据えて向き合う

●リーダーの在り方とは
・自己認知・自己探求 ―――主体的に生き、自分らしくあること
・目的地を知り、周りの状況を理解していること
・メンバー 一人一人への配慮と、双方向のコミュニケーション
・謙虚であること・自己管理
・群集心理を理解し、心を掴むこと

<受講された方の声を一部ご紹介します>

・先生の話し方が心地よく聞きやすくて、内容も自分の中で新たな発見がありました。

・園内研修を行う際のヒントになったので、是非取り入れたいと思います。

・コロナの影響で日々の保育が心配な中、コロナだからできないではなく、できることもあると分かりました。話を聞いてホッとしました。

・一人一人に合わせた関わりやみんなで考える姿勢の大切さを再確認できました。

・チームを導くリーダーとプレイヤーの違いがよく分かり、どのように対応したら良いかが分かりました。

当日の様子は、JIAMのHPでも紹介いただいております。