保護者の背景として考えられること~HELPが出せない理由

「どうして伝わらないのかなぁ・・・。」「一生懸命に向き合っているつもりなのに、なぜだかうまくかみ合わない。」「私のかかわり方が悪いの?」「モンスターなのかしら・・・。」
~そんな風に感じてしまう保護者もいらっしゃるのではないでしょうか。

もしかすると---その方は、本当は助けを求めているのかもしれません。
「えっ!?あんなにカンジが悪いのに?」
プライドが高く、一方でじつは自信がなく、社会のさまざまな情報に振り回される中で 自分自身も何が正しくて何が間違っているのか、だれを信頼していいのか、どうかかわればいいのかが見えなくなっている人も少なくないように感じられます。

こちらでは、「HELPを出せない(コミュニケーション下手な)理由 」をお届けします。

核家族化・人のつながりや交流が減ってきている現代の中で、
便利なものが増え、情報はあふれ、
人と触れ合わずとも暮らすことができる「便利な社会」になってきています。

人が成長する中でも、乳児期・幼児期・思春期・・・となるにつれて
様々な生活習慣をはじめとしてできることが増え、
青年期になると、「できて当たり前」となり。

仕事をする中では「価値の対価として、お金を受け取る」という社会の中で
人に迷惑を掛けない自立した大人として生活ができることで、
自由の幅も広がり、達成感や充実感を感じる場面が増えるのではないでしょうか。

一方で、子育てはそうはいきません。

社会が変化しても、子どもが成長していく中で大切な
“ぬくもり”や“発達段階”は一緒です。

思い通りにならない子どもとのやり取りの中で
「こんなはずではなかった」と行き詰り。
情報あふれる社会の中で、何を信じていいのかわからなくなり。

職場と子どもとの板挟み状態の中で、
どうしたらいいのかわからず悩んでしまう方もいらっしゃることでしょう。

ここに至るまで、家族や先生・地域の人・部活などのコミュニティにおいて
周囲の人とのコミュニケーション経験が豊かな方は、
声を掛けると誰かが助けてくれるということを体感で知っているため

「助けて!!」
「ちょっと手伝って叫び」
「何かいいアイディア、ない?」

~と何気なく 周囲に助けを求めることができますが・・・。

これまで、ご家族とのコミュニケーションが少なかったり。
(不器用・仕事で忙しい・諸事情など)

ひたすら勉強に打ち込んできて、仕事を始めてからも
あまり周囲とコミュニケーションを取る機会のなかった方・
人とのやり取りの中で嫌な体験が記憶に残っている方にとっては
その一声が、ものすごく高いハードルになります。
(そもそも、助けを求めるという概念がないかもしれません)

それが、対応する場面において、
無表情でいぶかしがるような態度になってしまったり。
強い言葉になってしまったり。
助けを求めているつもりが威圧的になっていたり。

本当は助けてほしいのに、自分で自分の中の概念を持て余してしまい、
権利を主張してしまったり。
やり方が分からない方もいるかもしれません。

背景を探っていくと、いろいろなことが見えてきますね。
こういった背景を知ることや、情報収集は
その後の保護者対応の際、とても役立ちます。

「そうなのかもしれない」という視点を一つ持っておくだけで、
「自分が信頼されていないのかな?」
「担任として不安を与えてしまっているのだろうか・・・?」
~と、自分自身を過度に気にして自信を失うのを避け、
保護者に寄り添うスタンスを保ちやすくなります。

保護者は答えを持っています。
だからこそ、「今、どんなところ(心理的背景)に立っているのか?」
・・・ここに耳を傾け、プロとしてできることを一緒に見つけて行きましょう。