子どもへの指導の仕方・伝え方」を開催しました!

当日は、新人さん・フリーから担任となった方など、
“保育をより良くしたい”という
意欲を持ったみなさんといっしょに
ワークや共有を交えてふだんの保育を振り返り
「先輩の保育の魔法を読み解く」
二時間半となりました。

<以下、レジュメからご紹介します>

保育士コミュニケーション講座
「子どもへの指導の仕方・伝え方」

<新人保育士の課題>

・自由奔放な子どもたちに翻弄され、
どうしていいかわからずに途方に暮れてしまう

・子どもは好き。仕事の意義もすごく感じている。
一方で・・・自分の力量不足が情けなくて、
家に帰っては、悔し泣き!?

<今回の講座について>
「保育の魔法」の秘密を読み解く

保育の在り方やかかわり方は無限にあり、正解はない。
守・破・離(しゅ・は・り)に当てはめると—

・守=まずは、型を守る(先人の知恵を学ぶ)
・破=型を破る(チャレンジを織り交ぜるなど)
・離=型から離れ、自在な形になる(独自の保育を行う)

~先輩たちの型を客観的に捉え、保育の視点を養うきっかけに!

<現在のあなたの指導・子どもの様子は?>

<理想とする子どもたち・自分・保育の様子の状態は?>
*日常の保育を振り返る

1.子どもの関心の“つかみ”としての、手遊び

子どもへの働きかけ・促しに、疲弊?!
そんなときは・・・

●空気を変える~ 子どもは楽しいことが大好き!
・紙しばいを読むとき
⇒ 「トントントン」(保)「あ~け~て!」(子)
・注目させたいとき
⇒0歳児 ~ パンダ・ウサギ・コアラ
1歳児 ~とんとんとんとんアンパンマン
2歳児 ~ くいしんぼうのゴリラ
3歳児 ~ 山小屋いっけん
4歳児 ~ パン屋に一つのメロンパン
5歳児 ~ 大きくなったらなんになる

2.子どもが動きやすい声掛け

お散歩に行く時・おもちゃを出す時・制作活動をする時など

●大人は様々な体験や積み重ねの中で、
・これをすると、こうなるという流れや習性などの認識
・時間の経過に関する概念
・自分たちが生きている世界への安心感
~といったものが根付いている。

EX:「外行くよ」と聞くと、
靴下を履く⇒上着を着る⇒リュックを持つ⇒靴を履く⇒安全確認をして外へ出る
~一連の流れが頭に思い浮かび、実際に行動に移すことができる。

●子どもは全体像が曖昧であり、
「今」という時間を生きている。そのため、
・この後に起こることへのイメージを持てること
・今~これからへと、どのような手順で物事が進んでいくのかが分かること
・楽しいことに続く流れが待っているという安心感
~が持てるように、分かりやすく話をすること!
(年齢が低いほど丁寧に言語化をし、順序立てて伝えていく)

【全体像が分かるように、順を追って説明をする】
・子どもは時間軸が大人ほど確立されていない
・次の行動予測が苦手 ⇒ 「今がすべて」
・時間のイメージを持たせる
~必要な段取りを、子どもがイメージできるよう、伝える

【楽しみながら行動が出来る様に期待をふくらませる】
・子どもは、楽しいことが大好き!!
~一番楽しみなことから逆算して頭の中を整理し、話をつなげていく!!
・どんな楽しいことがあるのか、期待をふくらませる話をする

<どんな段取りが必要か?棚卸をする>
大人の中では当たり前の流れを子どもがイメージ出来る様に話をすること!

EX:朝の片づけを終えて、公園に遊びに行きたい。
「みんな~。今日はね、うさぎ公園に遊びに行くよ。
うさぎ公園にはどんなお花が咲いてるかな~?
虫さん、みんなのこと待ってるかもしれないね。あ~、楽しみ!!
さ、じゃあ お片付けをしてトイレに行って うさぎ公園にこう!」

Q:外から帰ってて、上履きを脱いだ。これから給食を食べたい。
⇒どう伝えますか?

【ポイント毎に、声掛けをしてリマインドを!!】
子どもは「今がすべて」。次の行動にスムーズに移ることができるよう、伝える。
EX:「次は靴下をはくよ」「靴下を履いたら、お帽子をかぶるよ」
~最小の労力で、みんなが気持ちよく動けるような声掛けを!

3.全体を見ながら、個を見る意識

個々がクラスとして
一緒に活動を楽しめるための個別の配慮

<さまざまな子がいる現場>
・言葉を良く聞いて、自分なりに理解し
マイペースに流れに従おうとする子。
・はじめはテレテレとその前の行動を引きずるものの、
少しすると全体の流れに従ってくる子。
・なかなか切り替えが付かず、
他の子が動き始めても前の行動を最後まで取り続けようとする子。
・先生の気を引こうと、わざと逃げて行き
「つかまえてごらん」と後ろを振り返りながら様子を見る子

先生の言うことを聞く子だけが
“いい子”ではない。

葛藤の中で、
折り合いをつけていくことを学ぶのも、社会性の一つ。

個人の尊重と、集団―――
大切なのは、“バランス”。

【全体を見ながら】とは
日案に沿った行動として
クラス全体への働きかけを行い、促すこと。
EX:「これから、朝の会をするよ。
絵本をしまったら自分の椅子に座って、
お歌を歌おうね。」

【個を見る意識】とは
流れの中にいる一人一人は
何を考えてどう行動しているのか、
どういう表情・状態であるのかを把握する。
EX:流れに乗る・自分のペースで折り合いをつけていく・
そんな気分じゃない、など

状況を把握し、個別への声掛けを同時進行でも行う

全体 ⇒ 個別、個別、個別なかかわり ⇒ 全体
それぞれへの働きかけのタイミングが、
クラス運営のポイント!

<対応の仕方、あれこれ>

☆複数担任・フォローの先生がいる場合
「○○くん、お願いします」声を掛け、チームで対応
☆一人担任
全体へ声掛けを行い、流れに乗った後で個別に声を掛ける・・・など

4.時には叱ることで善悪の判断を育む

嫌われたくない、いい先生でありたい・・・?

大切なのは、「子どもの育ち」。
そこに覚悟を決めること。

<しつけ~文化を根付かせること>
叱る~子どもが社会で生きて行くための
“ルール”“文化”を伝えること

●ルールとは・・・
・危険の伴うことを避ける
EX:かみつき、ひっかき
・相手や周囲の人が嫌な思いをせず、
共同生活を送ることが出来る
EX:道端で大きな声を出さない
・クラス運営をする上での約束事
~クラス全体の共通認識:お約束にする
EX:先生が前に立ったら、静かにする
・場面ごとに、生活習慣を身につけるためのルール
EX:食事の時はお腹と机を付けて座る

●伝え方
・なぜ、いけないのか?(理由を分かりやすく)
・これをすると、どうなるのか?(子どもがイメージしやすいように)
・どんないいことがあるか?(良いイメージが定着しやすいように)
~を伝えていく。

Q:廊下を走らないように注意をする場面
について、考えてみましょう!

●向き合う姿勢(認め合う、心の距離を近づける)
・声の使い方(音量・ニュアンス・声色)
・視線・目線の向け方(真正面から目を見る)
・触れ方(スキンシップ、両手を持って…など)

~エゴではなく、自分を開いて子どもと向き合う

<ベテランの先生の魔法の秘密>
話をしただけで子どもたちがすんなりと
活動につながるのは、なぜ?!
・深い信頼関係
・視線の送り方
・声掛けの間合い
・心の懸け橋を掛ける働き掛け
・子どもに寄り添う生活体験

~の中で築き上げてきた
絶妙の空気感が織り成す保育マジック(職人技)!

5.信頼関係を育むふだんのかかわり

・日常の丁寧なかかわり(一緒にいる楽しさ・心地良さ)
⇒保育者に対する“快”のイメージ
・愛着関係の基盤を作る(スキンシップ・声掛け・対話)
子どもは愛を受けて成長する存在。愛情を出し惜しみしない!
⇒ 子ども「大好きなこの人のいうことだから、やってみよう」
・信頼関係ゆえの、甘えの受け止め方(イヤイヤ期)
⇒受けとめつつも、善悪のラインを明確に。

~これから心掛けていくこと・本日のまとめ・振り返り

<参加者の感想を一部ご紹介します>

・ありそうな事例を考えて皆さんで活して共有できたのが良かったです。

・感情を切り分ける方法が知れてよかったです。

・子どもに働きかける時、声掛けの仕方など、
子どもがイメージしやすいように全体像を追って説明するという点が分かりやすかった。

・子供との信頼関係、保育士も学ぶ、普段の関わりが良かった。

・全体を通して子どもは面白いとより一層思わせてくれました。
子どもは今を生きていて他にも楽しいことを促してあげて
楽しく次の場面に行かせてあげるという点は
もっと引き出しを増やしていく必要があると思います。

・資料を使いやすかったです。
保育の流れを伝えていく事は本当に大切だなあと改めて思いました。

・現場での「声のかけ方」について考えることが出来た。
「どう声をかければいいのか」や手遊びをもっと増やそうと思った。
また月曜からすぐに実践できます。
接し方のモヤモヤが晴れた。チャレンジしていきたい。

・子供も大人も対等な存在として、自分らしく関わっていく大切さを感じました。

・子供を決めつけないようにしていきたい。

・“いけない”ということを伝える時、
何が、どうして、どうすればいいのかということまで
細かく教えてあげるという点が印象的でした。

・プロ意識を忘れず、子どもにとって、社会のルールとして何が大事かを再確認しました。

・「困っていたこと、悩んでいたこと」が少し解決へと道が明るく、1歩進むことが出来た。

・丁寧な一つ一つの積み重ねの重要さを知りました。

・子供が一人一人と荒れ始めた時、担任もどことなく落ち着いていない。

先生も一度クールダウン、手遊びなど子供と一緒に楽しむ必要性ある事が分かりました。

・子供が動きやすい声掛けをする事の大切さ。

個々がクラスとして一緒に活動を楽しめるための個別の配慮であることが印象的でした。

・自己流になっていて不安だったが“声掛け”方法で
状況は変わることが出来るのだと少し勇気が出てきた。

・職員全体の保育に対する情報共有が一貫した保育につながると実感しました。

・何か行動に移して欲しい時、子どもがイメージしやすいような
声掛けと言葉遣いをしていきたいと思います。

・先輩のやり方をメモし、引き出しを増やいていきたいと思います。

・子供への愛情をより沢山注ぎ、ハグをしていきたいと思います。

・子供へポジティブな「やりたい」と思える声掛けをしたいと思います。

・子供に善悪、マナーをしっかり伝えられるようにしたい。

・「全体を見ながら個を見る(その子の感じていることを見逃さない)」ことを意識していきます。

日々、保育に追われていると、
そばにいる先輩と自分とのギャップに
悩むこともあるかもしれません。

けれども、保育の魔法を使っている先輩も、
かつては新人だったのです。

みなさんと同じ悩みを抱え、向き合い、
乗り越えて今があります。

目の前の子どもと向き合って土台を固め、
後輩から「あの先輩みたいになりたい!」と目標とされる
素敵な先生になってくださいね。

DVDもありますので、お役立て下さい。
https://hoikujinzai.com/blocks/index/00146