【受講者からいただいた質問にお答えします】

「男性保育士も増えてきています。
子どもとの関わりの中で誤解を招かぬよう配慮している所もあり、
いろいろと今後事例を出して頂ければありがたいです。」

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男性の保育士さん、がんばっていらっしゃいますね!

20年前は珍しい存在であった男性保育士さん。
おそらく当時は、なかなかやりづらい思いもされたのではないでしょうか。

そういった中で、ご自身はきっと
女の世界であった保育の世界を受け入れ、
ご自身が対応力を上げて行く中で信頼関係を築き、
リーダーだったり、園長先生だったりと
現在の立ち位置を築かれてきていると思います。

今回の文脈の中では、そういった男性保育士が活躍できるために
「男性保育士を受け入れる側にとって、大切な配慮とは」といった観点で
私が感じていることを書いてみようと思います。

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施設長時代、部下で男性保育士が入ってきました。
仙台や福島から横浜に出てきてくれていたこともあり、
息子のような気持ちで、かわいかったです。

その前までは女性だけの職場だったので、男性保育士が入ったことによって
現場はあたふたしながら、少しずつ形を整えていきました。

たとえば…

<更衣室について>

男性用のロッカーを購入し、女性の更衣室ではなく別の部屋を用意することになりました。
~とはいえ、別室が急に現れるわけもなく。

それまで、倉庫として保育制作物を準備していたお部屋を
男性用の更衣室として使ってもらうことになりました。

なので、鍵をかけ忘れた男性が着替えをしているときに
女性がうっかり戸を開けてしまいーーー

「わっ!!」
「すみません!」
↑なぜそこで謝る、男性!?見られたのは自分ですよ?
(本人曰く、「びっくりさせちゃったから申し訳なくって…。。」)

~ということがよくあったり。

倉庫は面談をするお部屋にもなっていたので、

何か事件が起こったときに
「ちょっとお話いいですか?」
~となり、男性が着替える場所がなくなって トイレで着替えてもらうようになったりと…。
ちょっと申し訳なかったです。

今思うと、園を作る段階で
男性用更衣室と女性用の更衣室を用意できたらよかったですね。
(できてしばらくしてからの施設長就任だったので、どうにもなりませんでした)

<子どもへの接触について>

女性保育士が何気なく子どもにしているスキンシップ。
けれども、同じような気持ちで男性保育士が愛情をこめてかかわっている様子が
「ちょっと近い気がする」「誤解を招く行動が見られる」として
数名から声が上がることがありました。

本人には、そのつもりはないんです。
悪気もない。
けれども、世の中で男性保育士が子どもへの犯罪を起こした事件があると
同じように怪しい目で見られてしまうことがあります。

これはとっても残念なことであり、
本人にお話をするにも 本人の意欲を折ってしまうことになるのではないか…。
がんばっているのに嫌な思いをさせたくない…ということで、頭を悩ませました。

そこで、私が考えたのは、
先輩保育士であり、現在 施設長をしている先生に来てもらい
男性保育士へのねぎらいと期待、
そしてご自身の体験談を話してもらうことでした。

その体験談は、事前に
「誤解されて嫌な思いをしたことはなかったですか?」
~とお話を聞いて、
「そういわれてみれば…こんなことがありました」
ーーー子どもを胡坐の膝に乗せて自由保育をしていたら
保護者から「いやらしい」と距離の近さを指摘されたというもの。

「そんなことがあったんですね」
「どんな気持ちでした?」
「その後、どんなことを気を付けていますか?」
~と、お話を聞かせてもらって
「それを、彼らに話していただけませんか?」
…とお願いをしたのでした。

そんなつもりじゃない。
けれども、周りから見たら、誤解を受けて嫌な思いをすることがある。
だから、気を付けて行こうね。応援しているよ。

~そんな温かいメッセージを、伝えてもらったのです。

後で彼らの反応を聞くと、
憐れむような眼でお話を聞いてショックな表情をした後、
何やら考えて、ていたとのこと。

施設長先生に感謝を伝え、
その後 本人たちの様子を見守りました。

するとーーー少しずつ、女の子へのかかわり方が変わってきたのです。

他者の目を、意識するようになりました。
保育には 客観性が、大切。

自分の振る舞いがどう映るか、意識を持ったうえで
かかわっていく。

これは、男性だけではなくて女性も一緒なのですが。
センシティブな配慮でもあります。

その他、心掛けていたこと

・男性のプライドを立てられるように、声掛けをしていました。

~圧倒的に女性比率の高い、保育の職場です。
すでに、女性の中で働くというプレッシャーを感じている人もいるかもしれません。

ここで踏ん張っている男性保育者にとって、
居心地の良い職場であることが大事です。
みんなの前で注意しないで、別で呼んで話をするなど。

~たとえうまく行っていなくても、努力している姿を認知していく。
(男性陣、一つのことに打ち込むと、周りが見えなくなる失敗がよくあったので)
ここにいていいんだ、自分の持ち味を生かしていけるんだ、と思えるように
居場所を大切にしたいなと考えていました。

・「男なんだから」というフレーズはプレッシャーになるので、控えていました。
~男性でも、体力に自信のない方や 重いものが持てない(腰痛持ち)の方、
虫が嫌いな方など、いろいろな方がいます。
男性の役割を決めつけず、その人の持ち味でいいところにスポットを当てられるように
いろんな側面をみんなに紹介していました。

~などなど。

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いかがでしたか?

いろいろな園があり、保育士さんも様々なので
「こんな失敗しちゃいました」
「こういう学びがあったんです」
~などなど、あるのではないでしょうか。

あなたが日常の中で
男性保育士さんが気持ちよく働けるように配慮していることがあったら、
ぜひ聞かせてくださいね。

もしかすると 男性保育士さんの立場から
「こんな配慮が嬉しかった」
「このときは、困りました」
「切なかったです」
~など、あるかもしれません。
こういった男性側の声は、貴重です。

mail@umehanarelations.comへあなたの声を聞かせてくださいね。