こんにちは、松原です。

伊調馨と栄監督のパワハラ問題が
記憶に新しいところではありますが…

その話題が上がる少し前に私が受講した
パワーハラスメント対策研修の学びを
シェアさせていただきます。

そもそも、なぜ私がパワハラ問題に興味を持ったかというと、
もともとの始まりは、「ハラスメント」という概念を
ここ数年でちらほらと耳にするようになったことからでした。

その流れの中で、
昨年受講した「女性育ボス講座」の労務の切り口から
その存在について学ばせていただき…。

私自身の研修の中でもお話をさせていただいていたのですが…

先日、保育現場の管理職層から
パワーハラスメントに関する研修のご相談をいただきました。

よくよくお話を聞くと、
私どもが入職したころの保育現場では
当たり前のように繰り広げられていたコミュニケーションが
今の時代の中では「パワハラ」に当たるということ

本人にはそのつもりはなくとも、
若手が辞めて行ってしまうのだそうです。

そういった事態を受けて、
何がパワハラなのか?
どうかかわればいいのか?
~進む道を見つけあぐねている管理職も少なくないとのこと。

その後、別の保育研修の場でも
そういったお話を聞く機会があり。

これは、社会構造や常識・概念が変化する中で
働く誰もにとって、大切な課題なのではないかと感じました。

「パワハラ」という課題に対して、
どのようにかかわっていくのがベストなのか・・・。

正しい知識を求めていたところに
厚生労働省の「職場のパワーハラスメントについて」というサイトを見つけ、
甲府で開催されていた研修に参加させていただきました。

以下、覚書から印象に残ったところをシェアさせていただきます。

=  =  =  =  =

山梨県労働局に昨年度寄せられた6192件の情報のうち、
6年連続の一位は、「いじめ」---ハラスメントだったとのこと。

業務の中でいじめが労災に認定されるケースも出始めている。
4人に1人、もしくは3人に1人が、
上司とのコミュニケーションでギャップが生まれている。

◆被害者は暴言を受けると・・・
パフォーマンスが落ちる
⇒目撃者もパフォーマンスが3割低下する。

◆傾向を「ケチな飲み屋」と表現される
・欠勤が増える
・遅刻が増える
・悩み事が増える
・能率が低下する
・ミスが増える
・辞めたいという

~こういったサインを会社が受け止め、
気づいていくことが大切である。

サインを見過ごすと、
「会社として知りうる立場にいるのに、安全配慮義務に違反する。」
…といった事態になる。

パワーを与え人材と支配権を与えているのに・・・。と。

厳密な鬱症状となると、
2週間なにもできないということも起こり得る。

相手の顔を思い浮かべるとパニック状態になるケース、
PTSDや、3~5年経っても、心の地雷に反応してしまうことも・・・!

【パワハラが発覚した場合】

 ◆行為者に対して 
好意をしたと思われる人に、ヒアリングを行う。
(加害者、という表現は決定した後に使う)

決めつけてはいけない。
本人の言い分を十分に聞いて・・・

決まった、やっぱりそうだったとなれば ⇒ 懲戒処分

*パワハラ・・・ハイパフォーマーが多い。
これまでの組織を背負って立ってきた人・・・
発覚することで、業務への影響が出る。

事実かどうかが確定せずとも、行為者がへこんでしまう事態に。

自覚的ではなかった場合・・・本人にわなわなと葛藤が起こる。
⇒「認知を変えてほしい」と伝える
⇒ モチベーションへの低下
・・・・損害賠償要求になることも・・・

 ◆企業が被る影響 
担当者 被害者・加害者(時によってはご遺族との対話)
会社としては、精神的につらい。

 事前に!!起こらないうちに、芽を摘むこと。

職場風土の悪化
ex:ターゲットへの怒鳴り声、
事務の女性への身体症状 突発性難聴…
心を守るために、体の不調
⇒助け合えない ⇒ 雰囲気の悪い職場 ⇒ モチベーションの低下に

Ex:地元の人気企業のケース
インターンへのパワハラ
学生:SNSに書いた
~5年間、一人も採用できなかった。

学校へ求人を出しても、
「おたくはアレがありましたからねぇ・・・。」
教育・対策・・・イメージダウン・・・
職業環境配慮義務違反

広告代理店~19年前、最高裁1億6800万円
-高橋まつりさん 社長の退任に際しての塩崎大臣の発言
「社長一人が辞めて済む問題じゃない」

 ◆対策を進めることによって・・・
パフォーマンスが上がる。
信頼が高まる・・・etc

やらないと、大変なことになる。

【パワハラの定義】

 ◆優位性がある場合
~同僚でも、キャリア(雇用形態の違い)や技能に差があるとき

EX:PC作業がばっちりの30代社員から、
PCのできない60代に「そんなこともできないんですか?」

非正規雇用…全体の40%といわれている
(パート・アルバイト・派遣・・・)

 ★パワハラの起こりやすい職場 
1.コミュニケーションが悪い
2.失敗が許されない雰囲気
3.忙しい
4.同じ仕事でも、様々な雇用形態がある

‐医療関係 福祉など

いろいろな専門職がいて、感情労働である
~自分の感情とは違う感情を見せなくてはならない。
せざるを得ない…。

立ち向かっていく力:精神的なダメージから回復するしなやかさが必要とされる

 ◆業務上の適正な範囲とは…?

パワハラに過剰に敏感になり、
「自分がされてきたことと同じことはできない。萎縮してしまう。」
…という上司が増えている。

*職場とは…業務を遂行する場所
適正な範囲については、こちらをご参照ください

 ◆パワハラに該当しないものとは?

○度々の遅刻…みんなはきちんと出勤している。
NG:見せしめ・懲罰・叱責

○成績の悪かった社員
EX:150人の査定をしなければならない
~きちんと理由が言えるように普段から様子を観察し、
納得できる理由が説明できること。
「仕方ない。けれども、これからは…」→次につなげていけるように

 ◆判断のポイント

  ①指導・指示の関係性
EX:バス会社の事例…接触事故
~炎天下の草むしりで倒れた
→社会通念を逸脱している。

  ②言動の内容
【日本三大人格否定】
1.給料泥棒!
「あと3人雇える!」「ガソリン代の無駄だ!」
2.○○失格!
「主任失格だ!」「社員失格だ!」
3.やめちまえ!
「お前のようなやつはやめちまえ!」

Etc:「そんなのはアホ(小学生)でもできる!」「能力が低い!」

③言動の態様
・にくにくしい
・否定する

 ④発言の場
場への配慮があるか?

 ⑤職場環境への配慮があるか?

◆パワハラの判例から
60余りの事例から、分類されたものがある。

①心身的な攻撃 ~Ex:机をたたいて大声で怒鳴る、乱暴な振る舞いをする
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過少な要求 ~Ex:闇カルテル告発後…机・いすのみ。2○年間。
⑥個の侵害 ~性同一性障害への侵害

*詳細はこちらをご覧ください
◆具体的な内容
~パワハラは、業務の指示・命令に名を借りたものであってはいけない。

◆パワハラ改善7つの取り組み

①トップのメッセージ ~セクハラ・コンプライアンス同様に

<ポイント>
労務管理上の問題として、重要な会社課題であることを伝える
トップがやって示すことが大事。
(現場:寝た子を起こしたくない気持ち…)
ハラスメントは、早急に解決しなかったことで…半数は本人訴訟。
「一矢報いてやる!」~裁判は、最悪の選択肢

 ②ルールを決める
就業規則~懲戒規定がないと…あいまいに。
「やっちゃったけど、この人は…。今回は…」
~組織内での信頼が崩れていく。
労使協定を周知すること!

③アンケート・面談を行う
「どう?」「つらいことは?」と拾い上げていく
アンケート→集団分析~「どうして?」→フィードバックしていく

EX:ギスギスした空気・暗い会議・つるし上げ…。

駆け込み寺があることを伝える
相談者が不利益にならないように、プライバシーへの配慮

できることから…10年間、信頼を当たり前のように積み上げていくこと。

 ④教 育
*まずは、認識を持つことから。
管理職は当たり前だと思っていることが、
一般職にとっては認識がずれていることもある。

~評価のポイントに入れるなど、
チェックリスト・セーフチェックリストを。

⑤周 知
連絡先カードを配布する・名刺ホルダーに入れるなど

⑥相談窓口
担当窓口の設置~基本として共有・ロールプレイをする
→内部通報か!? (会社の自助作用に期待している)
内部告発か!? (あきらめて外部を頼るのか!?)
~の分かれ道になる。
*外部への委託から始めても、かまわない。

=  =  =  =  =

これらのお話を踏まえて、
3~4人ずつのグループで自己紹介を交えて
それぞれの置かれている状況について
お話をさせていただきました。

中にはすでに、内部通報を受けて
被害者と加害者との間で板挟みに遭い
精神的にきつい状況になっているというお話や・・・。

外部機関として相談を受けているが、
ほとんどがパワハラによる相談であり
社内での解決が前に進みにくい現状なども
聞かせていただきました。

=  =  =  =  =

私たち人間は完璧な存在ではないので、
良かれと思って行っていても、
つい行き過ぎてしまうことや、
お互いの関係性の中で自覚がなく、
誰かにいやな思いをさせてしまうことがあるかもしれません。

そしてここに、「パワー」という概念が絡んでくると…

利害関係をはらむため、
お相手への一気にプレッシャーが強まってきます。

多くの「パワー」を持つ側の人は、
無自覚なケースが多いのではないでしょうか。

私自身も、自分はそんなつもりはなく話をしていて
部下から、
「先生。それは言わなくて結構です。
私たち(リーダー)から話をして、様子を見ましょう」
~といわれて、ハッとしたことがあります。

〝パワーが無自覚のうちに生まれている”
ということを謙虚に受け入れ、
では、それを踏まえて どうかかわっていくのか・・・

自覚的に行動や発言を選んでいくことが大切だなぁと、
立場が上にになればなるほどに、その影響や責任を痛感します。

そしてこれは、職場に関わらず
私たちを取り巻く様々な関係性の中で
誰もが当事者であり、被害者になりうるのではないでしょうか。

そういったところを踏まえて、
もしも自分の組織の中でパワハラの通告が起こったら・・・

そんな場面を想像してみました。

当事者だったら、ものすごいショックでしょうし、
これまでの自分自身のアイデンティティがゆがむような感覚で
うずくまってしまうかもしれません。

窓口として、相談を受けた側だとしたら・・・
いろいろな場面や関係性が頭をよぎり 冷や汗が背中を流れ、
人間の弱さが前面に出てうろたえてしまうかもしれない・・・
・・・と、思いました。

(「人間だもの」あいだみつを。ですね。)

けれども、動揺とともにもみ消しに走ってしまうと
内部の信頼も失い、結果的に外部の信頼も失うリスクにつながります。

これは、知識・意識を持っているかいないかが、
大きな分かれ目になるのではないでしょうか。

まずは立ち止まり、正しい知識を持った上で、
長い目で見た対策を進めていくことが必要ですね。

今年度もこちらの内容に絡んだご依頼をいただいているので、
みなさんと一緒に働きやすい職場へ向けて
歩みを進めていきたいと思います。

*なお、【うめちゃんねる】でもこちらのテーマでお話をしてみました。

保育の現場で実際に私が見たり聞いたり体験した
パワハラの事例もご紹介しています。

どうぞご参照ください