「まだもうちょっとかな・・・。」
先輩の仕事ぶりを見ながら、暗黙の了解で空気を読む。
まだまだ終わらなそうな気配を目にして、
他にやることはなかったかな・・・と、仕事を探し始める。

〝先輩より先に帰ってはいけない”
~そのために、なんとなく仕事を探す夕暮れ時…
そんな光景を事務所や休憩室で体験したことはないでしょうか。

 

私は新人の頃、
自分の仕事が終わっていそいそと帰ろうとした際
先輩から怖い顔をして
「自分の仕事が終わったら 
 先輩に『先輩、何かすることはありませんか?』と聞いて
 自分から仕事を探すものよ」
と言われたことがありました。

そうか。
先輩より先に帰ろうとしてはいけないのか。

~そんなわけで、行事前には何となくだらだらと
23時まで残って仕事をしていたこともあります。
(翌朝は早番のこともあるため、グッタリでした)

児童養護施設に転職をして、中堅になる頃には、
何となく一緒のシフトで入った先輩の様子を見ながら
足並みをそろえることが、自然になっていました。

一旦保育の世界を離れて
コーチングなどの学びを経て
保育園でまた施設長として働き始めた頃・・・

中堅の先生たちが、
先輩の仕事ぶりを見て空気を読みながら
本当は帰ってもいい仕事のキリであるにもかかわらず
新たに仕事を探し、帰らずにいる光景を何度か目にしました。

おや?

「終わったら、帰っていいですよ。」

~そう声を掛けるものの、

「はぁ。」

(そういわれても、この空気の中では帰れないよ・・・。)

~中堅の先生たちの目が、そう言っているようでした。

じつはこれらは、私の身近だけではなく
各地に研修に行く先々で話を聞くと
わりとどこの園でも同様に起こっていたことが分かりました。

「帰れない」

う~ん、たしかに・・・そういう空気感が漂っているのです。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
どうして先輩が帰らないと先に帰ってはいけないのでしょうか?

今、保育士の離職が問題になっている中で、
もしも、形骸化した(形だけの暗黙の了解で)
悪しき習慣だとしたら、見直す余地があります。

本当は帰ってもいいはずの時間を「残る」ことで
時間がもったいないですし
お互いに無駄に気を遣い合うことで、現場が疲弊してしまいます。

ですが、本当に形だけの悪しき習慣なのでしょうか?

いまは形だけが残ってしまった残念な習慣だとしても、
じつは物事には肯定的な意図というのも存在しています。

肯定的な意図の元となるコアの部分を一緒に考え、
大切なエッセンスだけを今後につなげていけるといいですね。

一緒に立ち止まって考えて行きましょう。

「先輩より先に帰ってはいけない」3つの肯定的な意図

1.先輩を敬う、尊重する精神

 

自分よりも長くいろいろな体験をしている先輩の存在を
尊重し、慮ることによって
お互いの気持ちにかけ橋が架かりやすくなり
自分にとって必要な時に先輩からの指導や支援が得られ、
その後の仕事がやりやすくなるという側面があるのではないでしょうか。

私自身、先輩にお伺いを立てることで
機嫌よくアドバイスをいただけた記憶があります。

2.新人には見えていない仕事がある

 

新人は、自分の目の前のことに必死で、
園全体で行われている仕事が見えにくい側面があります。

自分の仕事だけ終わったからと言って帰ろうとすることで
まだ見えていないところで
園全体としてやるべき仕事が残っている可能性があります。

「他にはありませんか?」と聞くことで、
保育の仕事の全体像を学んでいくことは、
保育者として成長していくうえで大切なことでもあります。

3.チームワークへの配慮

自分の仕事が終わったら、ふっと顔を上げて

「他の人はどうしているかな?
抱え込んでる人はいないかな?」

~とちょっとしたことでも声を掛け、
フォローする習慣をつけてみることで
園内での関係性が良くなっていきます。

もしも、先輩やほかの人が
なんとなく仕事をしているようであれば・・・

「何かお手伝いすることはありませんか?」
と声を掛けて見ましょう。

聞いてみて、特になければ
「お先に失礼します」と席を立てば良いですね。

何かあれば、一緒にやって一気に仕上げてしまいましょう。

保育は、日頃の関係性の上に成り立っています。

急に体調を崩した時、家族に緊急事態が起こった時…

いざという時にお互いが「オタガイサマ精神」で助け合えるためにも
日頃の関係性を大切にしておきたいですね。

大切なのは、メリハリを付けて仕事をすること

園全体にかかわることを、
もしも先輩だけがやっているとしたら---?

できる手は限られているので、なかなか終わらないかもしれません。

園全体=みんなのことなのですから、
みんなで手分けをして取り掛かれば、早く終えることができます。

ここはぜひダラダラとおしゃべりしながらやるのではなく
一気に集中して取り掛かり、
終えたら「おつかれさまでした!」と解散をして
みんなで早く帰れる空気を創っていきましょう。

ポイントは、メリハリをつけて仕事をすること。

ダラダラやると集中力が落ちて、効率も下がります。

意味もなく先輩の空気を読んで帰らずに仕事を探すのではなく。
ダラダラと仕事をするのでもなく。
メリハリを持って仕事をする空気感を、あなたから醸し出していきましょう。

 

 

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