スタッフの山本です。

 

本日も松原の過去記事をご紹介します。

 

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(2014.11.27の記事)

「後輩が自分で動けるようになるための指導コーチング」ご報告
11月22日に保育士コミュニケーション講座

「後輩が自分で動けるようになるための指導コーチング」を行いました。

当日は、施設長さん・ベテラン保育士さん・主任さんとともに

「指導する側の視点を知っておきたい」と新人さんも参加され、

身近な人とのかかわりを思い浮かべ、ワークを交えての2時間となりました。

以下、レジュメと参加者の声をご紹介します。

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1. 後輩指導で起こっていること

「あれもできてない、この間伝えたあれは?」
「仕事が遅い」
「一度では仕上がらない、何度も手直しが必要」
「伝えたことをメモしない」
「余裕がなくて、ミスが多い」

~ “できていないこと” が目につく

<指導をする側>

「何回教えたら、分かるのよ」
「成長が見られない」

~もどかしさが、やがてストレスに・・・?!

<指導される側>

「自分は何をやってもダメなんだ・・・。」 →自信を失う
「また言われてしまった・・・。」     →落ち込む
「がんばったのに、結局言われてしまう・・・。」

セルフイメージが下がり、本人のモチベーションが低下する

〇指導する側の目的:「仕事が前に進むこと」

ところが、本人のモチベーションが下がると・・・

~結果的に、業務が悪循環のスパイラルに陥る

保育や子どもへの影響も・・・?!

●指導をしているはずが、結果的に悪循環に陥ってしまう

~心が折れて園に来なくなってしまう事例も。

<あなたの後輩はどんな人ですか?>

<この時間の最後に目指す状態は?>

*目標設定・現状認識が重要(意識化する)~セルフコーチング

2.自信を深める承認

―「ふつう」のラインとは?

「教えたんだから、できるはず」
「ふつう、こういう時はこうするよね」
「考えたら、分かるでしょう!?」

早番遅番・一日の流れ・記録・保護者対応・行事・係分担・・・
目につくのは、できていないこと・・・。つい、言葉がきつくなってしまう。

●成長は理屈とは別物である。
(自分たちにも試行錯誤の時期があった)

●“期待”の大きさが、
本人の今の器や力量とかけ離れて“プレッシャー”に!?

<本人の不安>
「自分はここにいていいのかな?」
「できない自分の居場所は、ここにはない・・・。」
「叱られてばっかりで・・・他の人のほうがいいのでは?」

・呼吸が浅くなる
・不安・不信感が高まる
~身体的な症状としてあらわれることも・・・

●正しさよりも承認が、安全安心の信頼関係を作る

まずは安全安心の信頼関係を作り、力を投入できる環境を整えてあげること。
そのためにも、“承認の声掛け”が、大切。

【承認とは】存在を認めること。
2つの承認:「無条件の承認」と「条件付けの承認」

「無条件の承認」:在り方・過程・上手くいっているところ・成長に焦点を当てる

~「おはよう」「おつかれさま」といった挨拶や、笑顔。
~「何ができても、できなくても、
あなたはここにいる価値がある存在ですよ」というサイン
~本人の人となりで良いところ~「愛されキャラだよね」など
~保育でがんばっているところ・認めているところ
~「手遊び、上手だよね」「優しいところ、すごくいいよね」
~「記録の書き方、上手になったね」
~努力している姿・過程への励まし
「なかなかうまくいかないかもしれないけど、
がんばっているのは分かっているからね。もう一息、頑張ろうね」
「条件付けの承認」:何かができた時・上手くいった時に掛ける承認の言葉
~任されている仕事がうまくいったときに「良かったね!」
~ピアノがうまく弾けたとき「うまく弾けたね!」
~評判が良かった時「楽しかったって声が聞かれたよ!」
成果が出た時には成果を承認し、喜びを分かち合いましょう!

育成者の期待値に届かないと、ぎくしゃくしてしまうことも・・・。

たとえ、思ったような結果につながらなくても、
努力をしている姿勢を認めていることを
まずは声に出して伝えましょう。

承認は、心の栄養になる。
心が温かくなるような承認の言葉かけを!

●自信が付くと、モチベーションが高まる
―承認によって本人は気付いていない自分を見直す機会になる。
―声掛けによって、安心感から意欲が湧く

<あなたの後輩さんへの承認を棚卸してみましょう!>

3.失敗こそ、振り返りから学ぶチャンス!

「伝わらない。」「自分でやった方が早いし、確実」
けれども・・・後輩は、成長のチャンスを失う。

<後輩育成によって起こる良いこと>
・後輩が育って行くことで自分たちの負担が減る
・他のことに費やせる時間が増える
・保育がよりスムーズに回る

保育の中では、「時間」は本当に貴重なもの。
~すぐに教えたことを覚え、実践力になってほしい!!

そんな時ほど、『急がば、回れ。』

●“気づき”を促す“問い掛け”の力
教えられるのが当たり前になると---受け身になってしまう。

失敗覚悟(園の運営に支障が出ない範囲)で体験学習をしてもらうこと!

「失敗」とは・・・?

・みずみずしい学びのチャンス!
・学習の機会と捉えて「問い掛け」でとことん掘り下げ、
自分に立ち返る時間を作ること。

「問い掛け」とは―――

『相手の中にある答えを信じて投げ掛ける、質問』のこと。
人は問い掛けられると、思考が回り始める。

⇒受け身だった人にも、スイッチが入る!

「今回、こうなったけど。○○について、どう教わった? 」
(⇒本人の中の認識を知る機会になる)

「失敗したね。何が原因だったんだろう?」
(⇒原因を自分で探りに行く時間を持つ)

「行き違いがあったんだね。いま、どんな気持ち?」
(⇒無表情に見えて、混乱している場合がある。
気持ちの整理をすることで、思考回路が見えてくる)

「思っていたことが、相手には伝わっていなかったね。
何が起こっていたんだろう?」
(⇒行き違いの状況を客観的に分析するきっかけとなる)
~など

※“問い掛け”の注意※
誘導尋問にならないように!~心的なプレッシャーで逆効果になる
問い掛けは、あくまでフラットに。
「相手と一緒に考える」ようなスタンスが良いでしょう。

●気付きは、次の行動が変わるチャンス!
問い掛け後、返事をするまでに時間が掛かることも
⇒今まで考えていなかったことを考えているというサイン

●大切なのは、見守りの姿勢
・表情をよく見ておくこと。
~ハッとした様子が見られたり、目に宿る力が強くなることも
・自分で気が付いた答えの方が何倍もパワフル
・味方であることが相手に伝わるような配慮
・かかわる方の、自己管理(声のニュアンスなど)

●気付きを引き出す、かかわり方
・気づきに共感しながら、しっかりと受け止める
「そうだよね。○○だよね。」
「○○かもしれないね。」

・さらに踏み込んで 次の具体的な気付きを引き出す
「じゃあ、どうする?」「他には?」
「だとしたら、どうしたらよかったかな?」
「この時は、こういうこともあるよね。どうしたらよかった?」

・本人が見ていない大切なことを伝える
「○○を忘れているようだけど、それでいいのかな?」
「このままいくと、どうなると思う?」

・他で起こっている影響を伝え、視野を広げる
「○○が心配していたけど、あの件はどうなった?」
「他の園では、こんな事例もあったみたいだよ。どう備える?」
~気づきにつながる

●行動から得た学びが、成長につながる
出てきた答えはすでに伝えていたこと・教えていたこと?!

体験を振り返り、答えを見つける2つの意味

1.新たなアンテナが立ち、学びを吸収する姿勢ができる
~素通りしてしまった情報を、あらためて受け入れる準備ができる。

2.本人のキャパシティー(容量)に余裕を作る!
問い掛けにより、脳内が整理されていく。
自分で答えを出すことによって情報がつながり、“知恵”になる。

4.勇気付けと、地に足の着いたチャレンジ

●踏み込んだチャレンジをするための土台、“勇気づけ”
・さらに可能性があるところ
・それができると、どうなるのか
~を具体的に言葉にして伝える。

EX:「あなたは人を和ませる才能がある。
もっと余裕ができて 視野が広がると
目の前の子どもだけではなく クラス全体の空気感を和ませる
頼もしい先生に成長してくれると信じているよ。」

~自分では気が付かない自分の可能性を知ることが、
チャレンジへの勇気につながる。

●地に足の着いたチャレンジを促す
取り組む内容を本人から引き出し、自発的な行動につなげる。

1.「まず、やってみること」を話し合う
小さな一歩の積み重ねから!できることを棚卸する。
「具体的に、何からはじめようか?」
~本人の中から“やる気”を引き出す。

2.それができたらどうなるのか?成功イメージを明確に
イメージしたことは、脳が「できる」と認識し、行動がスムーズになる。

3.日時・期日を明確にする(曖昧なイメージを現実的に落とし込む)
いつやる?いつまでに?具体的な時期を設定する
~曖昧なイメージを現実的に落とし込む。

本人の意思で期日を決めることに意味がある。
~責任意識・遂行へのモチベーションにつながる
(マイペースすぎる場合は、
「それだと○○で困るよね。どうする?」と落とし込む)

「やってみよう!」と背中を押し、勇気づけを!

4.結果を報告共有・検証する
「できたら、知らせてね。」と任務完了が分かるアクションを組みこむ。
⇒「やってみて、どうだった?」と、行動からの振り返につなげる。
※ときどき声掛けをして、進捗状況確認を!

●実行した後の振り返りから、学び・気づきが得られる
実際の行動を振り返ってみて、
「気が付いたことは?」 「どんな学びがあった?」
「難しかったことは?」 「うまくいったことは?」
~承認・問い掛けを織り交ぜて、次の行動へとサイクルを回していく。

失敗体験から、学び・気づきを引き出すコーチングセッション

5.時にはガツンと!フィードバック

観察とフィードバックで、気付きを促す

<観 察>
相手は、自分の状態になかなか気が付かない。

・息が上がってそわそわした状態になっている
・テンパって仕事が中途半端に散らばっている
・がんばっている気持ちは分かるけど、空回りしている      ~etc

相手の様子や気持ちの変化・表情の変化を客観的に観察すること

<フィードバック>

観察によって感じたことを言葉にして伝えること
発しているサインを受け止め、伝えることで、相手に気づきや変化が起こる
~ふだんのかかわりの中で伝えていくと、気づきが生まれる。

<コーチング体験の気づきをフィードバックしてみましょう!>

●時には、厳しいフィードバックを
目を覚ます意味で時にはガツンと腹を据えて注意を促すことも必要。
最初に承認を伝えた上で、
・ありたいすがたと、そのギャップ
・やるべきこと
・できていないところ
・惜しいところ
~などを伝える。

●厳しい指導で気を付けたいこと
・一方的にならない
「あれもこれも」と伝えたいことがでてきてしまいますが
相手の容量を見極めて、内容を整理してから冷静に伝える。

・相手の様子を観察する
響いているのか、どんな表情をしているのか、
どう伝えていくのが効果的なのかなど頭の片隅に置きながら伝える。
相手の様子を観察し、その後の指導につなげる。

・感情的にならないこと
感情のままにぶつけると、内容が伝わりにくくなる。
どう伝えるのが相手に響くのか、
声色・表情・声の大きさ等意識しながら伝える。
(ストレス発散にならないよう、感情のコントロールを!)

・腹を据えて、伝える
誰しも、厳しいことは言いたくないもの。
「嫌われたくない」「悪者になりたくない」 「耳の痛いことを言いたくない」
・・・気持ちはわかるが、伝わりにくくなる。
大切なのは、相手の成長を願って腹を据えること。
「あなたを信頼しているし、期待しているので
あえてきついことを言わせていただきます」
~ということを伝えた上でフィードバックを!

・自分の影響を意識する
声の大きさはどのくらいが効果があるのか?
表情は優しい方がいいのか?あえて厳しい方がいいのか?
冷ややかな方がいいのか?
相手の反応を踏まえた上で、客観的に自分の行動を意識・調整しながら伝える。

●厳しい指導の後には、問い掛けを
厳しい指導により起こった変化を今後の行動につなげる
「どう感じた?」「何から始める?」「次は?」
「いつまでに?」「できたら伝えてね」
~具体的な行動に落とし込み、仕組みを作る

●愛ある指導をするために
ふだんのコミュニケーションで承認を伝える
誰のためか?相手にどうなってほしいのか?を意識する
相手が理解できる内容まで、視点を下げる

<まとめ・印象に残ったこと>

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【参加者の感想を一部 ご紹介します】

・コーチングは普段の会話とは全く違う次元のものだということを感じた。

・難しく、分かり難い内容でもたとえが分かりやすく、良かった。

・問いかけについて(具体的な気づきを促す)が印象的であった。
新しい関わり方を知った気がする。

・実際にセッションできたことが大きな学びになった。

・コーチングについて学べてよかった。
二人組でおこなえた事で自分のクセにも気づけた。

・自身を深める承認。
自分自身褒められたり、頑張っているところを認められると
嬉しいものなのでやっていきたい。

・今まで自分の指導のやり方では後輩は受け身になっていたと思う。
気づける後輩を育てていきたいと思いました。

・相手の気づきを促すためには、自分が引くこと、が印象的だった。

・仕事のやり方についてもっと上向きになるにはどうするべきか、
具体的に自分でも考える習慣をつけたいと思いました。

・コーチングとアドバイスの違いをしっかり理解できました。

・つい話しすぎたり、アドバイスをしすぎてしまうので、
相手を見守り寄り添い、短的に声を掛けていくことをしていきたいと思いました。

・質問をすることは心掛けていたが、「問いかけ」の仕方が具多的で参考になったので是非やってみたい。

・相手を観察したいと思います。

・承認することを増やして、先走って指導しすぎないようにしようと思います。

私自身、“コーチングは透明人間になること”という言葉を片隅に置いて

なるべく自分での気付きを

行動につなげられるように関わっていますが

思いが強いほどバランスが難しくなるのが、

育成の課題ですね。

現場で頑張っている人・寄り添っている人。

それぞれの努力が報われますように!

 

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以上です。