こんにちは、スタッフの山本です。

すっかり秋めいて気持ちいい天気が続いていますね。

本日も松原の記事をご紹介します。

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(2015年1月6日の記事)

 

こんにちは、

保育士コミュニケーション講座 講師の松原美里です。

 

ベテランの保育士さんは

何気なくやっていることだと思いますが、

コーチングの観点から保育がスムーズになるポイントを

読み解いてみましょう。

 

今回は

「子どもの“できること”と“課題”を見極め

次の行動につなげる 観察・フィードバック」

をお届けします。

 

●観察・フィードバックは、なぜ必要か?

子どもと一緒に生活をしていて立ち止まる場面、

しばしばあるのではないでしょうか。

たとえば・・・

・靴をうまく履けずに、苦戦している時

・服のチャックが挙げられず、

悔し泣きをしている時

・トイレに行った後、

パンツをはかずにおしゃべりに興じている時

・食事の場面でなかなか進まずに、

手が止まってしまう時

こんな時、大人がサッと手を出してやってあげると

スムーズに事は進むかもしれません。

マンツーマンならまだ時間を掛けられますが、

「全員をじっと待っているなんて、至難の業」

~と感じられる方もいらっしゃるでしょう。

 

けれども大人がやってあげることによって、子どもは

*自分でやり遂げる体験

*達成感

*満足感

*自信を身に着けるチャンス

~を失います。

その後も似たような場面がやってくると

「やってくれるなら、やってもらった方がラク」

と、自分でチャレンジをする意欲を失うかもしれません。

 

「時間通りに生活の流れに乗せてあげたい」という

大人の願いがある一方で、

じつは「早く終わらせる」「進める」のは

大人のエゴかもしれません。

 

子どもにはそれぞれの成長・

発達における課題があるのです。

ある程度の時間の流れを踏まえた上で、

個々の成長・課題を尊重する---

この、一見 相反するように見えることを同時進行するには

どうすればいいのでしょうか?

 

【観察の目的は、

何が起こっているのかを把握すること】

 

そこで必要なのが、見極めです。

保育の中では一人一人の成長・

発達が見える場面が多々ありますが

そこで、「この子は今、どんな段階にいるのか?」

「何が課題なのか?」を見極め、

個々に配慮した関わり・声掛けを行うことが大切です。

 

保育の中でいうと、

四半期ごとに書く発達記録を踏まえて

(今、成長のどの段階にいるのか?

どんな状況か?を書くもの)

個人月案(成長を踏まえた次のステップを設定するもの)での

課題目標を頭の片隅に置きつつ・・・。

見るべきは、こちら!

 

【どこまで出来て、何が課題なのか?】

日常の中の様々な場面において

~今、子どもに何が起こっているのか?

~どんな気持ちになっているのか?

~どこまでできるのか?

~何で詰まっているのか?

~何が課題なのか?

~次に進むための懸け橋として、

どのような援助があればいいのか?

・・・を見極め、それぞれの行動を把握し、

ピンポイントなかかわりを

同時進行で行うことが大切なのです。

これらは保育の中で「見る」といわれている行為です。

0歳は1人の保育士に対して3人の子ども、

1歳は1人の保育士に対して4人に子ども

(横浜では4、全国的には6人の子ども)

などといわれますが、

それは“同時に子どもの状態を把握しておく人数”

という意味と、私は捉えています。

(電話や調乳など用事があって一人が席を外すとき、

瞬間的に1:多数になることもあります)

ベテランの保育士さんたちは、

笑顔で全体を見回しながら

個々の子どもに対して、これを行っているんですね。

さて、見極め=「見る」ができたら、次のステップ。

「声掛け」です。

 

【気付きと認識を深める声掛けのマジック】

きっと、子どもは目の前の出来事に夢中になっており、

自分が今

・何を感じているのか

・どこが課題なのか

・どうしたいのか

~などに気づいていないことが多いでしょう。

ここで、コーチングでいう

“フィードバック”が登場します。

見えていることを言語化して

伝えてあげることが大切なのです。

「いま、靴が履けなくて悔しいんだよね」

「入口のところがうまく入らないのかな?」

「最初だけ先生と一緒にやってみようか」

~というように、子どもに声を掛けることで、

子どもに

「そうなんだ」

「たしかに」

「うん、やってみよう!」

・・といった気づきが生まれ、意欲につながります。

また、子どもは“いま”を生きているので

大人の側が意図している次の行動

「二人一組で手をつなぐ」

「お話を聞く」

「お散歩に行く」

~などが見えておらず、

目の前のことに執着してしまうかもしれません。

 

そこで、大切なのが

次の行動を言語化する“声掛け”です。

「靴に足が入ったら、トントンってしてみようね」

「みんなが待っているから、

立ったらお友達と手をつなごうね」

「今日は○○公園にお散歩に行くよ」

「公園には、どんぐりさんあるかな~?

一緒に探してみようね」

・・・というように、

今後の行動のイメージをふくらませる声掛けをします。

声掛けがあるのとないのとでは、

「0か50か?!」くらいの

ちがいがあるのではないでしょうか。

声掛けされることによって認識が生まれ、

スムーズな行動の一歩になります。

声掛けは“マジック”ともいえるかもしれません。

ベテランの保育士は何気なく行っていることは、

じつは奥が深いことが多いですね!

意識的に行うことでさらに行動にメリハリが付き、

子どもの育ちを促進できるのではないでしょうか。

ぜひ、今日からやってみましょう♪

 

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以上となります。

本内容の実践ワークをご希望の方、

松原美里への講演のご依頼は、

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